第21話 鳴けぬなら代わりに泣くよホトトギス

何かが鳴いている。


「ホトホトホトホト」


でも、なんの声かわからない。

ゆっくりと目を開ける。


そこには鳥籠の中にいるホトトギス?


涼しい環境の中、目を覚ます。


クーラーかな?

そして、身体がとっても軽い。

でも、視線が違う。

あれ?


記憶が頭に色々と入ってくる。


「僕の名前は……

 鈴鹿隼人。

 それは、前世の名前。

 今の名前は……小間綾人。

 あれ?どうした?あれ?この身体……」

 

身体を見渡した。


「ちっさ!」


小さい。

身体が小さい。


「僕は何歳だ?

 えっと……3歳?」


「えっと親は?あ、いないんだ。

 俗に言う育児放棄ってやつだ。

 お腹空いた」


「あー。クソ。

 なんだよ。この人生ってなんだよ!

 また、このまま野垂れ死ぬの?

 ってか、今何年だ?」


綾人は、近くにあったパソコンを起動させた。

パソコンに数字が表示される。


2024年1月19日


「2024年?」


「僕が死んだのは、2018年だったよね。

 あれから、4年も過ぎているのか。

 ってか僕は、今3歳だから。

 1年で転生したのか?」


……情報を集めよう。


今の名前は、小間綾人。

歳は3歳。

親はいるけど、絶賛育児放棄中。


よし、今の記憶はある。

前世の記憶。


享年32歳。

仕事はなし。

いわゆる無職。

20歳から10年間は職を転々としていて。

5年間は引きこもり生活。

貯金を切り崩していた。

それで……あれ?なんで死んだんだっけ?

コケて頭をぶつけて身体が動かなくなって……

それで……死んだ。

意識があったからつらかったな。


それ以外の記憶は……

あ、Eメールを思い出した。

あとパスワードも。


綾人は、なんとなくでEメールのサイトに接続してアドレスとパスワードを入力してみた。

すると接続できた。


そして、沢山届いているEメールに気づく。

メルマガから架空請求まで……

そして、個人のメールが届いていた。

送り主は、水樹七緒ってなっている。


水樹さん。


彼女は僕にとって姉のような存在だった。

元気にしているのかな?


そう思ってメールを見ていると水樹さんからのメールが、数週間前と表示されている。


今度、シンガポールにいくの。

また、帰ってきたらおみやげ話でもするね。


そう書かれていた。

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