「言葉に溺れる」#言葉の添え木より


「いつか天井が抜けそうでいやだわ」

 姉の二階にある大量の書物の部屋の天井を見ながら母が言った。

 確かに姉は大量の本を持っていた。何でも持っていた。

 そして色々なことを知って、色々と諦めていた。

 最後は出版社に勤めるようになって困り顔のまま「そういうことなの」と言った。

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