〜恋濃〜太郎(タロウ)さんと華恋(ハナコ)さんはアッチ向いて恋♡

神威ルート

第1話 〜プロローグ〜それはこの町から始まった♡

都市部のオフィス街をバスで抜けること約20分…

ちょっとだけ錆びついた標識が目立つそのバス停を降りると…

そこはオフィス街の喧騒とは無縁で…

何処かのどかで…

何処か懐かしさを漂わせる…


二階建ての小さなスーパーが町の端にはあるものの、町の中心には小ぢんまりとした商店街と、いかにも庶民的なパチンコ店やバッティングセンター、麻雀倶楽部にスナックや居酒屋が軒を並べ、その近くには古めかしい小さな神社と駄菓子屋、年季の入った外観を見せる交番が顔を覗かせている。

町の南側にある河川敷の土手では、少し散り始めた桜並木の中、犬の散歩をしている御婦人と、軽く汗を流しながら颯爽と走る人達が挨拶を交わしたり、通学生の自転車が二列になったり一列になったりして走り去っていた。


そんなこの町に…

卒業と同時に大学の寮から移り住むことかれこれ十三年…

「いや、もう十四年は過ぎたな…」

そう呟くのは、いかにも中間管理職の雰囲気を漂わせ、背も低く小太りでちょっと猫背なメガネの中年男性…

髪型はオールバックにしているが、薄毛で猫毛なのが何となく解る。


ただ仕事帰りなのだろう…

何時ものようにバスから降り軽く辺りを見渡しながらそんな事を呟いていた…

そんな彼だが右手に持つ食材が入ったエコバッグやカバン、その身なりは見た目や雰囲気と違って何気にオシャレである。


そんな彼に…

「あ、おかえりタっく〜ん♪今日は早いじゃん♡」

バス停に立つ彼の背後から聞こえる場違いな位アンバランスで幼さを感じさせる甲高い声…

その声で振り返る彼の目の前には、自分よりも10センチ以上は高いであろう身長と褐色肌で銀髪、薄いラメ入りのピンクのルージュをひいた、いかにも今どきの個性的で派手でお洒落なコーディネートをしたグラマラスなギャル…

そんな彼女が、嬉しそうに駆け寄って腕を絡めてきていた。

「ただいま♪今日は急ぎの仕事が無かったから定時で帰れたよ」

「ラッキー♡お互い買い物帰りに会うって、もうこれって運命じゃん♪♪」

「う、運命って…ま、ま〜じゃ〜早く帰ろうか、今夜は華さんの好きなクリームシチュー作るから」

「やり〜〜♪具材はゴロゴロでよろ〜♡」


顔を真っ赤にしながら挙動不審なリアクションをする彼とは対処的に《これは私のものだぞ!》と言わんばかりに必要以上に密着する彼女…

ぱっと見【パパ活】?

それとも【援交】?

はたまた【同伴出勤】?

と、見た目そう見られてもおかしくない絵

面である。

だってあきらかに対照的な二人だから…


しかし良く見れば解るだろう。

二人の薬指に光る指輪の輝きが…

そう…

二人は結婚している。

しかも新婚さん♪

もっと言えば、口説き落としたのは彼女の方で落とされたのは、一見冴えないこの中年男性の方(驚)


歳の差18歳差

彼女の母親と同い年、仕事はできるがプライベートはコミュ障で彼女いない歴=年齢だったちょっぴりヲタクな中年男性と…

彼の妹とは一歳違い、母娘で立ち上げたオリジナルデザインがメインのアパレル会社を経営する見た目まんまな褐色ギャル… 



…この物語…

それは今から丁度一年前の今日…

当時仕事に追われてくたびれていた中年独身男と、かたや念願のアパレルブティックのオープンに向かって寝不足&空腹を栄養ドリンクで誤魔化しながら戦う褐色肌のギャル…

山田太郎と山田華恋(ハナコ)♪


今では二人仲良くあっち向いてホイをしながら家路に向かうこの新婚夫婦と、彼らを取り巻く結構クセのあるサブキャラ達との山あり谷あり、そんでもってマニアックで赤裸々なお色気ありな濃いめの毎日を出会いから結婚、そして現在進行形の日常なんかも綴っていくお話なのであった♡♡♡



…続く…













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