暗いやつ

双葉紫明

第1話

僕は根暗だ。

誰よりも暗い自信がある。

毎日毎秒、死んだほうがマシだと生きている。

どのくらい暗いかというと、夜の海とか、山ん中くらいかな。

そして、自分は世の中の膿、止まない雨みたいな存在だ。

無い方が良い。

居ない方が良い。

見ない方が、良い。

それは、直接的には金がないからだと思う。

なんせ産まれた時から金がない。

金さえあれば、少し明るくなるかもしれない。

だから、金が余ってたら、僕にください。

個人、団体、政府問わない。

ああ、この金どーしよう。

そんな時には僕が居る。

それでも僕は、その貴重な金を活かせるかはわからない。

僕が調子に乗ったところで、いったい何があるのか?

だから、もっと善い誰かに、お金をあげたら良い。

お金は稼いだら、あげるものだと思う。

それでマシになる人が見当たれば。

その為に稼ぐのではないか?

僕ならそうする。

しかし、僕はどうやらお金を稼げない。

だから、あげる方じゃなく、もらう方だ。

くれ。

金を。

金を、くれ。

今すぐに。

それで明日、僕はなんとか生きる。

くれなくてもなんとか生きる。

いつか、誰かが大金くれるのを待ちながら。

あ、大晦日だね。

良いお年を。

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