学校から帰る道の上で、ひまわりの詩集の文章を思い出す。キスの表現のある文章だった。ひまわりは誰かとキスをしたことがあるのだろうか? それともこの文章は創作であり、すべて幻の出来事なのだろうか?

 隣を歩いてるひまわりはまだ眠たいようであくびをしている。ひまわりは子供のころからよく眠る子だった。それは高校生になった今も変わっていない。

 それだけではなくて、ひまわりは今も子供のままだった。姿は大人になったけど、中身はずっとあのころのままだと思った。

 人は生きていれば成長する。

 成長したくないと思っていても大人になる。子供のままでずっといることはできない。ひまわりだってそれはおんなじはずだった。ひまわりもいつか大人になるのかな? みずあめはそんなことを疑問に思った。

「ひまわりは今好きな人とかいるの?」

「え!?」

 ひまわりはとても驚いた顔をする。

「いないよ」

 そう言って顔を(夕焼けの色よりも)真っ赤にしているひまわりはみずあめを見て赤い舌を出して笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る