第3話





「北の方って

 そんなとこまで行ったんですか」



現在位置を教えると

編集者は驚いたようだ。



「原生林、

 近いですよね」



GPSなんて無い時代。

地図を広げながらの通話。


電話の向こうで

紙とおぼしき音がする。


バサ。

バサ、バサ、バリ。


編集者も

デスクで地図を広げているのだろう。



立ち寄った町の様子や

食べ物の話をして。



編集者は

ここから更に

北に位置する

原生林地帯を気にしていた。



「原生林、ダメですよ。

 見るだけならいいですが、

 絶対 滞在しちゃダメですからね」



野宿すると思ったのだろう。

こちらが移動する間に

宿の手配をしてくれるという。






「じゃあ、次の休憩で

 また連絡します」




夏の風は心地よし。




自転車を漕ぎだした。


日差しと、

景色と

風を堪能しながら。




指定された町を目指して

走る。














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