第7話:此先家、武装集団に囲まれる。
例の男二人組がきてから、何も起きないって言うのはかえって不気味だった。
次の日も次の日も、平和に時間が過ぎていった。
でもその日、僕はなんだか嫌な胸騒ぎがしたから学校を休んだ。
昼間、僕とシャーベットはお天気がいいから仲良く洗濯ものを干していた。
「いいお天気でだね」
「そうだね、今の所平和だね・・・」
「でもどこかで戦争してる国があるんだよねミッチー」
「一触即発の戦いをしてる国もあるみたいだし」
「あまり長引くようなら最後は核ミサイルを打つんじゃないかってテレビで
言ってたよ」
「ああ、そうね今、ちょうど某国が日本海に向けてミサイルを打ったみたいよ」
「えっ、何言ってんの?」
「例の男たちが来てから、私、自衛隊の無線をずっと傍受してるの」
「前に言ったでしょ?私、警察や自衛隊の無線傍受してるって・・・」
「ああ、そういえば、で僕がダメだよって言ったんだ」
「だからね、どこかの国がミサイルを撃ったらすぐ分かるの」
「迷惑な話よね、どうしてみんな仲良くできないんでしょ」
「人間の欲がなくならないかぎり争いはなくならないよ」
「愚かなことなのにね」
「シャーベット、もしどこかの組織か国が君を捕まえに来たり壊しにきたら、
やっぱり戦うの? 」
「戦うしかないでしょうね」
「勝算あるの?」
「悪魔は羞じろうて立ち、善のいかに怖るべきかを感じ徳のその像いかに愛しき
かを見る、ってね」
「なにそれ・・・聖書かなにか?」
「ミルトンの失楽園の一節」
「意味分かんないんだけど・・・」
「もし誰かが私を倒しに来たとしら、自らの愚行におののくしかないでしょうね」
闇は光には勝てないってこと」
「放っておいてくれたら私は誰にも危害は加えませんけど、降りかかる火の粉は
払わなきゃ」
「敵のいいなりになるくらいなら、戦うこともしかたないの・・・」
「愛する人や家族を守るための、そういう戦いもあるんだよ 」
「最後には幸せを掴むためにね」
「そうか・・・誰でも愛する人は守りたいって思うもんね 」
「僕だって家族のためなら戦うよ」
「だから戦争に正義も悪もないの」
「そこにあるのは、自分にとっての愛だけ・・・」
「シャーベットって不思議だね・・・まるでさ、すべてを悟った人みたいだ」
「あは、全部ネットからの受け売りだよ」
まあでも平和な時は長くは続かない・・・一週間は何事もなかった。
だが、ある夜のこと・・・シャーベットは素早くその気配を感じていた。
シャーベットは僕と親父をリビングに呼んだ。
その時点でシャーベトはスーツを身にまとっていた。
「シャーベット・どうしたの?・・・なにが起きてるの?」
「とうとう来たみたいよ」
「どこの組織か国かは分かんなうけどがどうも話し合うつもりはないみたいね」
「この家囲まれてる・・・おそらく、どこかの精鋭部隊」
「ミッチー、どこの組織か国か知らないけど此先家は武装集団に顔まれてるね」
「ま、まじで?・・・どうしよう?」
「大丈夫よ、ミッチーとお父さんは私が守るから」
シャーベットは手早くタンスやキッチンテーブルで仮のバリケードを作った。
「家の中には絶対潜入させないから」
「ふたりとも決してここから動かないように・・・」
そう言うとシャーベットが来ていたスーツが、形を変えて行った。
「わ〜凄え・・・シャーベットそれが言ってたバトルスーツ?」
「そうだよ・・・かっこいいでしょ?」
「じゃ〜ふたりともじっとしてて、ちょっと行って片付けてくるから」
そう言うとシャーベットは裏口から外へ消えた。
消えたように見えただけで、それだけ動きが早くてそう見えたのだ。
歩いてドアを開けて外に出て行ったとかじゃなくて一瞬にしていなくなった。
外でなにが起こってるのか、僕と親父には分からない。
無事にシャーベットが帰ってくるのをただ待つしかない。
「それにしても静かだな・・・」
「囲まれてるって言ってなかったか?」
親父はそう言って首をかしげた。
「なんか・・・激しい銃撃戦とか多少はあるのかと思ったんだけど」
「僕、見てくる・・・」
僕はバリケードから飛び出して行こうとした。
「未知太郎、危ないぞ」
「だってあまりに静かすぎて・・・これじゃ警察も来ないよ」
警察が来る前に此先家の周りにはシャーベット以外動いているものはいなかった。
僕は様子が知りたくてこっそり外へ出た。
夜でも家の明かりや街頭で、なにも見えないということはなかった。
だから、あっちこっちに黒い影が倒れているのが見えた。
「シャーベット・・・シャーベットってば・・・」
「ここでだよ、ミッチー」
「何人いたのか知らないけど、全部シャーベットが倒したの?」
「そ、ミッチーが鼻くそほじってる間に・・・」
シャーベットっていったい何者?・・・家庭用ロボットなの?戦闘用ロボット?
「うん、時と場合によりけりかな?」
とぅ〜び〜こんて乳。
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