第三話

魔由美「方法ならあるわ」

勇斗「どんな方法だ?教えてくれ!」

戦弥「魔王に勝てるのならば何でもしよう!」

僧子「魔由美、教えて。」

魔由美「それは……後の世代に託す事よ。」

戦弥「…なんだって?」

勇斗「おいおい、託すったってよ…」

僧子「………あっ、もしかして」

魔由美「僧子は気付いたみたいね。」

勇斗「?」

戦弥「…もしや」

魔由美「そう、この時代の技術を口頭で伝えるの」

僧子「ただし、呪いで私達はすぐに死ぬ…」

勇斗「でもよ、あの辛い咳地獄の中でちゃんと技術を伝えられるのか?」

戦弥「確かに…ん?ならば、筆談はどうだ?」

僧子「それも激しい咳で手が動くから不確かな方法だと思う…腕を固定出来ればなんとかなるかもしれないけど…」

魔由美「…皆、私達は復活する時に魔力は満タンで復活するわよね?」

僧子「そうだけど、それがどうしたの?」

勇斗「もしかして、あれか?状態異常回復の魔法」

戦弥「だが、唱えるのに喋る必要があるだろう」

魔由美「もう…あれがあるじゃないの、神護の魔法じゃないから唱える必要の無い熱線魔法が」

僧子「そっか、誰かを傷付ける魔法は神護の魔法

じゃないから…」

魔由美「そう、それで文字を書く」

戦弥「中々クレイジーな事を考えるな…」

勇斗「それなら3人で魔由美の腕を抑えて床にでも一文字ずつ刻めばちゃんと伝えられそうだな!」

僧子「ただ…それだと何回も死に戻りであの辛い咳に苦しめられながら書かないといけない…」

魔由美「そこは根性よ、そんな楽に伝えられる訳が無いでしょ?」

勇斗「よし、やってやろうぜ!…それで、何の技術を伝えるんだ?」

戦弥「俺は文系だから理科には強くないぞ」

魔由美「ミサイルよ」

僧子「えっ…?それって…」

勇斗「俺でも知ってるぞ、なんかやべぇやつだろ」

戦弥「それでどう魔王を倒すんだ?」

魔由美「そんなものは向こうの世界の人達が自分で考えるのよ、私達にはどうしようもない」

戦弥「そうか…」

勇斗「…魔由美、作り方は知ってるのか?」

魔由美「ええ、一応ね…」

僧子「それじゃあ、急ごうか。今も魔王は国や村を侵略していってるかもしれない」

魔由美「ええ、行きましょう。私たちに運命が味方してくれますように…」


なんやかんやで長い船旅を終え、地図の場所に着いたのであった…


勇斗「ここか?」

戦弥「ん…?何か底が光っているだが…」

僧子「幸いにもそこまで深くは無さそうだね」

魔由美「ほら、飛び込むわよ」

戦弥「待て待て待て!一応ここ死海だぞ!」

勇斗「そっそうだぞ!網で引き揚げるとか何か方法あるだろ!」

魔由美「それじゃ、引き揚げて」

僧子「そこはあっさり折れるんだ…」

戦弥「よし、引き揚げるぞ〜!」


漁で使う網を使い、無事に引き揚げる事に成功したのであった。


僧子「…なにこれ?」

勇斗「これまたヘンテコな箱だな」

魔由美「開けてみましょう」

戦弥「よし…ふっ!うりゃぁぁ〜!…開かないぞ」

勇斗「おい、それ回す方向反対じゃないか?」

戦弥「えっ、そんなわけ…あっ、開いた。」

魔由美「はぁ…それで、中身は?」

戦弥「光る石だ」

僧子「…ちょっと見せて」

戦弥「お、おう」

僧子「これ、なんとなく…えいっ!」

勇斗「お、おぉ〜い!?何してくれてん…だ?」

魔由美「なるほどね、これで…」

勇斗「うぉっ!?」

魔由美「くっ!」

戦弥「ななっ!?」

僧子「きゃっ!?」


突如あたりが強い光に包まれる…


勇者「ここは…ゲホッ!ゲホッ!」

魔法使い「ゲフッ!ゲホッ!」

戦士「戻ってき…ホッ!ゲッホ!」

僧侶「ゲホッ!ホッ!」


勇者達は戻ってきた。そして苦しみも戻ってきた。


牧師「あ…皆!勇者様達が戻られたぞ!だがやはり呪いが…!大丈夫ですか!」


少しして、4人は死んだ。そして生き返る。


勇者「魔法…ゲホッ!ゲホッ!」

牧師「魔法…?」

戦士「腕を…ゲホッ!」

僧侶「皆さんは下がっ…ゲホッ!ゲホッ!」


3人が魔法使いの腕を固定し、魔法使いが熱線魔法で床に一文字ずつ書いていく。


牧師「魔法使い殿、一体何を…!?」


牧師や駆けつけてきた民間人は混乱している。

それも無理はない。復活したと思いきや、いきなり神聖な教会の床に熱線魔法を放っているのだから。


牧師「一体魔法使い殿は何をしているので…ん?

これは…文字か?そうか、魔法使い殿は私達に何かを伝えようとしているのだ!なるほど…ならば仕方ありません、今はこの神聖な教会に傷を付ける事を許しましょう…」


それから、魔法使い達は三日間死に戻りを続け文字を書いていった。そして全ての文字を書き終えた…


牧師「勇者御一行が…復活しなくなった?そうか、書き終えたのですね…」


牧師は魔法使いが床に書いた文を読み、ミサイルの作り方を学んだ。そして…


牧師「これがみさいる…勇者御一行の意思はしかと受け継ぎましたぞ…!」


国を挙げた決死のミサイル攻撃により魔王城は崩壊した。だが…


魔王「小賢しいわ…このような兵器で私を倒せるとでも思ったのか…?…むん!」


魔王が腕を振り上げると、バラバラになった魔王城が再び元通りの姿になっていった…


A国の兵士「報告いたします!魔王城が、魔王城が元通りになっていきます!」

A国の王「仕留められなかったか…!…そうだ、

いっその事だ。全ての国が協力し、大量のミサイルを作るというのはどうだ?」

A国の大臣「なるほど…しかし、魔王は着実にひとつずつ国を落としていってます。先日もL国が落とされたばかり…なので、計算では1ヶ月以内にミサイル提携を結び、4ヶ月以内にミサイルを作り上げる必要があります。そして、国民から少しばかりの税金を徴収し費用を賄ってはおりますが、ミサイルをもうひとつ作るとなると…」

A国の王「最悪の場合、国が滅ぶ…か…」

A国の大臣「ですが、やらなければどのみち魔王に世界は滅ぼされます。ひとまず、全ての国に連絡を取ります。そして、全ての準備をしっかり進めて

参ります。」

A国の王「うむ、任せたぞ。」


一方、あの世では…

魔法使い(こんな事…して…一体何が…したいのかしら…あいつ…いや、私の………は…)


次回に続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る