雷獣の咆哮
こっちの方もぼちぼち投稿を再開していきます。さて、前回の話、何だっけ(アホ)
というわけで前回までのあらすじ
加入後初配信にしてPKクランの襲撃に遭った凛凪たち。警察屋さんやダンジョンの安全管理を担う人たちと協力し、彼らを捕まえることになった。
そして、凛凪たち『黄昏の明星』はさらなる情報を集めるため、リスクを承知でダンジョン探索を決行した……
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[ヤバイヤバイヤバイ!]
[早く逃げて超逃げて!!]
[急展開ktkr]
「……行動が早いね」
「絶対に逃さないって感じ?」
『いや、顔認証で照会してみたところ、奴らは素行の悪いパーティーの集まりみたいだ。あのPKとは関係がなさそうだ』
「でもこんなに一箇所に集まるのは不自然じゃないかしら?」
「だよね。完全に裏がある感じ〜」
俺達の周りを、約40人。10パーティーほどが囲む。
皆、ギラついた視線を俺達に向けていた。
配信を開始してからたった30分後の出来事である。
「これ、懸賞かかってるかもしれませんね」
「懸賞?」
「多分あのPKクランが裏サイトか何かで俺もしくは俺のパーティーを討伐したら賞金が出るようになってるんじゃないんですかね?」
「そこまでやるんですか!?」
「依頼人がしつこいのか。それともこれが小手調べなのかは不明ですが、後者ならあまり手数を見せたくないですね。以降の本命のときに対策されたくないので」
[しつこすぎワロタ]
[やらしい〜]
[策士だな]
「……どうする?来栖くん」
「…そうですね。ささっと片付けます。夕華」
「ん?」
「
「……やるの?てか、できるの?」
[雷獣操法?]
[なんぞそれ]
[必殺技だぁ!]
「あれくらいなら全力じゃなくてもいいだろ。10%くらいで」
「…そうだね」
夕華が槍を構え直す。いつもの左前半身構えから更に腰を落とし、右足を膝が付くほど後ろに下げて超下段の構えをとった。
「じゃ、行くよー」
「任せろ」
この技でいちばん重要なのは、空間把握。
「『
「『
夕華の2つ目のスキル『火雷神』は魔力により自身の細部一つ一つ、自身の周囲、自身の手に持つもの全てに、「雷」という現象を付与する。
10%では実際の速度は雷に遠く及ばないが、それでも音速を遥かに超えた速度で動くことが可能だ。
1〜5人が夕華の突撃に巻き込まれ感電した
ただ、その超速攻撃も使い勝手の良いものではない。
速すぎるがゆえに方向転換ができず、壁に突っ込んでしばらくダウンしてしまうのだ。減速もできないわけではないが、慣性により大きな隙をさらすことになる。
その弱点を補うために、俺がいる。
夕華が突っ込んだ先には、俺が歪めて繋げた空間。それに入った瞬間、閃光は別の探索者に向かってその牙を剥いた。
空間を歪ませることで
これが俺達が全国大会で優勝を総なめできた一因だ。
[はっやあああああああああああ]
[うおおおおおおおおおおお]
[いけえええええええええええ!!!]
「これサングラス必須だね」
「それにしても速いわね…」
「目が追いつかないです…」
5秒もすればすべてのパーティーが地に伏し、夕華が減速フェーズに入った。
このときも十分減速するまで俺の気は抜けない。十数秒かけて夕華がスキルの出力を下げる間、壁に激突しないようにルートを調整する。
「ふいー。片付いた?」
「おかげさまで」
[強すぎ]
[全員死んでる?]
[これが全国王者・・・]
『悠音、彼らの内3人ほどを拘束してくれ。聞きたいことがある』
「わかったわ」
朝霞さんが茨で何人かを拘束すると、スピーカーモードにして外に声が聞こえるようにした紫倉社長が尋問を始めた。
『さて、ウチを狙った経緯について、話してもらおうか』
「……へっ、特にねぇよ。他の連中も、たまたま略奪の目標が被っただけだろ」
『そうか…悠音』
「
「が、あ゙あ゙あ゙あ゙あ…!」
『この茨は神経に直接刺激を与える。私の満足する返答がなかった場合、その茨の締め付けが強くなっていくからよく考えて返事をするように』
「ぐあ゙あ゙…っ!し、知らねぇもんは知らねぇ…!俺等も、あいつ等だって、裏サイトで集められただけだ…!」
『ふむ……次の質問だ。その裏サイトの依頼主とは今も連絡がつくか?』
「…いや、裏サイトでは依頼主の情報は一切遮断されているはずだ。報酬も、匿名で振り込まれると書いてあった」
「そういう場合ってほとんど払われないんじゃないですか?」
「猫水嬢、よく気づいたね。ダンジョン系闇バイトの7割は報酬が支払われないらしいよ」
「ここにいる全員。ただの使い捨ての駒ってことか」
「夕華、当たり前のことをドヤ顔で語るな」
「ねえ私の扱い雑じゃない?」
[夕華ちゃんへのあたりキッツ]
[それほど信頼してるってことよ]
[寒暖差ありすぎて風引いた。]
『手がかりが増えると思ったが……流石にここでヘマをするような真似はしないか。悠音、開放してやれ』
「いいの?また暴れ出すかも」
『大丈夫だ。来栖くんが落としてくれる』
「え?」
囚われた男が素っ頓狂な声を上げる。
『やれ、来栖くん』
「イエスボス」
刀の峰で相手の顎を叩き、意識を落とす。
『さて、もう通報はしたんだよな?』
「うん。そろそろ来ると思うよ」
『では我々はこのまま探索を進めることにしよう。視聴者も、もともとはダンジョンは心を目当てに見てくれているんだ。』
[下手なダンジョン配信より満足です]
[もうお腹いっぱいです]
[この内容の濃さで攻略進度30%とかマジ?]
「まあ、この程度の襲撃だったらいくらでも叩き返せる」
「そうだね。気にすることもないかー」
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