貞操観念は逆転した世界は性欲マシマシ男にとって最高という他ならなかった

リルク

第1話 主人公は性欲が強すぎた

俺はあることに悩んでいる。

それは人より性欲が強いことだ。


この悩みで今までどれだけ恥をかいてきたか……


小学生のころ、クラスメイトの女の子がドアの段差にぶつかりこちらに倒れてきた際、俺がその衝撃で勃起してしまったのを見られてからが始まりだった。


そこからクラスメイトには惹かれ、噂されるようになったのは言われるまでないだろう。


小学生の時から友達は一人もおらず俺の心は半壊していた。


「お前……きっも……」


「サイテー」


「近づかないでおこう……」


「うっわくそエロ野郎と隣かよ……」


そんな罵倒を当時小学生であった俺には過酷だったのだ。

唯一の支えである両親は離婚。

母親に俺はついていき、女手一つで俺のことを育ててくれたのだ。


「私だけは……あなたの味方だから……」


母さんは俺にいつもそんな風に言葉を語りかけてくれたのだ。


中学生になってもその環境は変わらなかった。

元小学校が同じやつから情報が広まったらしい、俺は教師にも同級生にも嫌われたのだ。もうすぐ中学3年になる今でもそれは変わらなかった。


「俺が……悪いのか……なぜ俺は性欲が強いんだッ!?」


素敵な女性を見るとすぐ勃起をしてしまうからそれがばれたら社会的に抹殺されてしまう。


そんなことをいつも気にしないと外など歩けない、

そして俺は外に行きたくなくなる。


そんな毎日。学校では嫌悪され外でも堂々と歩けない。

俺は……もう生きる価値などないのではないか?

そんなことをよく思うようになったのだ。


俺はこの頃よく夢を見る。


知らない女性が俺に話しかけてくるのだ。


「あなたを転生させてあげましょうか?あなたを必要としている人がたくさんいるんです。というかお願いです。転生されてください……」


そんなことを俺に懇願する。

しかし俺はいつも断るのだ。


「すみません。僕には大切な母さんがいるんです。母さんを置いてどこかになんていけない。」


俺がそう断ると夢は終わり、いつものように朝が来る。


「一体……?」


夢はいつも記憶に残っている。

夢なんていつも忘れるのに、あの女性の話だけは妙に記憶に刻まれている。


「なんなんだ……あの人は……?」


顔だけが執拗に思い出せない。

だけど……なぜか安心するようなそんな雰囲気がする。


「……俺は……母さんの子供でいいのかなぁ……」


俺に似つかない優秀さ。

そしてそのやさしさと心の強さ。


俺とは真逆だ、きっと父親の血が強いのだろう。


父親の不倫による離婚。

きっとあいつのクズの血が入ってるせいで悲観しかできないのだろう。


「……あの人なら……母さんを……」


俺は決意した。


~~~~~~~

「お願いです!あなた様に——」


「転生します。」


「へ?」


「あなたの言う通り転生しましょう。」


「い、いいんですかッ!?や、やった~~!!!!」


彼女の顔が鮮明になる。

彼女はなんだかかわいらしい顔の白装束を着た少女だった。


「その前に、少しだけいいですか?」


「はい!なんでしょうか?」


こんな時でも勃起している自分に嫌気がさす。

我慢しようとしても勃起してしまうのだ。


俺は前かがみになる。


しかしその女性は俺にこういった。


「ああ!大丈夫です!恥ずかしがらないでください!あなたのその勃起に私たちの命運がかかっているんです!」


「へ?」


「ああ……一から説明しますね!」


こんなかわいらしい女性から「勃起」という言葉がでたのも衝撃だが彼女が少し興奮しているのがうかがえたのが気になった。


「あなたが転生する世界は私が管理している世界……あッ!自己紹介を忘れていましたね!私は世界識別番号4519の世界を管理している女神です!」


なんとこのかわいらしい女性が女神様だったのだ!

俺は狼狽するが彼女は続ける。


「そして、私の世界では人科の雄の数が急激に下がっているのです。

そして女性が性欲を発散できずに治安が乱れてしまっているのです……」


「で、では……僕にたくさんの女性を孕ませろと!?」


「はい……あなたは性欲が人より強い、そんなものではありません!千年に一度の性欲なのです!」


「そ、それは絶倫ってことですか?」


「ええ、それも人より疲れにくいのです、セックスしても。」


「せ、セックス……」


「はい!ですからあなた様には私の世界の女性たちを侍らせていただきたいのです!」


「そ、それは……僕にとっては幸せですが……?」


「しかし、あなたのお母さまが……」


「あなたは……俺の母さんを幸せにすることができますか?」


「へ!?」


俺は言い方の語弊に気づく。


「ああ、そういう意味ではなく……母さんを生涯幸せに暮らせるように調整できますか?」


「あ!そういう……わかりました!それに関しては私があなた様の世界の女神に伝えておきましょう!」


「お願いします!……そうですね……心残りは……母親だけです。」


「いいでしょうか……?転生させてしまって……?」


「大丈夫です!というか……転生なら体のいろいろな部分が変わってしまっうんじゃ……?」


「ああ、それは大丈夫なんです!あなたの魂に刻まれているその「スキル」

が大切なので!」


「……あの……もしかして……」


「はい?」


「これ……肉食……系……の女子が……?」


「あ!はい、そうです!この4519世界はあなた様の世界と貞操観念が逆転しております!」


「……そ、そうですか……」


「では!行ってらっしゃいませ!どうか私の世界を救ってください!」


「ちょっとまってこころの……準備が……」


意識が朦朧とする。


そして彼女は最後に俺に言い残した。


「どうか……心を強く持って……」


俺は完全に意識を手放した。


第1話終わり

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