第3話 水に宿るいのちの定め

「湖の下にある地下トンネルを開放してくれ」と。

湖の下にある地下トンネル。そこは、本来、開けてはいけなかった。なぜかというと、

そのトンネルは、非常に巨大で、どこへと繋がるのか分からないトンネルだからである。

だが、一つわかっていることがある。

そのトンネルは、誰にも知られずに死んだ死者が辿り着く場所であるということだ。

これにより、トンネル内は、悲しみで充満し、ただでさえ、黒ずんだ灰色一色の無機質なトンネルなのに、一層無機質さが増し、生身で入ったものは、3日以内に行方不明になってしまうという。

だが、水の「何か」は、それを開けることにした。自分が、悲しみのガスを押し退けて、湖に住む命をどこかへと逃れさせることができると思ったからだ。

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