第2話 お金の大切さを学び大満足

 カーカーとカラスが勝手に鳴いている曇天模様の空。私の心は、雨でビチャビチャグチャと音を立てて濡らしていました。


 (もうすぐ13時に来る方はこの方だね)


 ◯ベルギ・ワッフル家

 ファジィ公爵

 趣味:草むしり 

 好きな花:百合 薔薇

 座右の銘:同情するなら金をくれ


 (なにこれ? 金の亡者って事?)


 ヒヒーン!アウ!アウ!


 (まずい! もう来ちゃった! 応接室に行かないと!)


 発情期を思わせる馬車馬のいななきを聞き、私は足早に応接室に向かい、待機。


 ガチャ


 「お初にお目にかかります、アルシンドお嬢様」


 「あ、はい。よくぞいらして頂きました」


 私は待機していた数分間の間で突貫工事で開発した、快心の作り笑顔でお出迎え。


 「おや? アルシンドお嬢様? 表情が冴えませんが、どうかされましたか?」


 「え? いや、ワッフル様があまりにも整った顔立ちでしたもので……」


 直前に塗りたくった頬紅を利用した、赤面俯きと言う必殺奥義を咄嗟に使用した私は、男性免疫がない女の姿をサービス披露。


 「なるほど。これで更に二割増しかな?」


 ワッフル様は札束をポケットから取り出し、パタパタと自らの顔を仰ぎ始めドヤ顔。


 「…………」


 「ちなみにこのタキシードは5000パラパラもしました。そしてネクタイは1919パラパラ、ネクタイピンは0721パラパラです。ガハハ!」


 ※1パラパラは日本円で100円


 「さ、さようでございますか……」

 (駄目だ。笑い方もアウトだ)


 その後も、将来の夢は札束風呂、『よく考えようお金は大事だよ』と謎の歌を披露されるなど、地味なデコピン攻撃で私は失神寸前になりながらも話を替えました。


 「あ、あの……好きな花は百合と薔薇だとお聞きしました。園芸がお好きなんでしょうか?」


 「はい! 私自慢の花壇には一本1000パラパラの薔薇と百合が植えてあります! その数なんと50本で50000パラパラ! ムネオハウスもビックリ!」


 「…………」

 (とりあえず時間までやり過ごすしかないか……)


 その後の1時間が5時間に感じられると言う、苦行の体験をした私は、慌てて自室に戻り二人目のリストを確認していました。




 


 




 



 


 


 

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