看病は腹が減るの話

 家族がちょっとした風邪になったので一昨日あたりから看病をしている。とはいえ、そんなに手の込んだものではなく、お粥とか作って、ゼリーや冷えピタを買って寝かしつけているだけなのだけれども。


 で、作ったお粥を食ってて思うんだが、健康だとお粥だけだとすぐ腹減る!いや、別にまずいわけではない。俺が作ったのだから消化には良いが、まずくはない普通のお粥だ。でも腹が減る。健常者の胃にお粥は長く滞在してくれない。ちょっとしたホームステイといった心地ですぐ消化されてしまう。もっと餅とか、肉とか交換留学生の皆を見習ってほしいところだが、そうもいかない。


 とは言え、病人の前で肉を食い散らかしたり、一人だけラーメンとか食いに行くのも、まあ気が引けるのだ。だから一緒にお粥を食い、腹を一時間もしないうちにぐうぐう鳴らしている。四時間もすれば、その音はぐららあがぐららあがとなり、オツベルと象もかくやといえるほどの音が、部屋中に響き渡るだろう。


 日頃食べ過ぎの自分の肉体には、ちょうどいい空腹なのかもしれないが、空腹を調味料にしなくても旨いものを食いたいというのが人の心情だと思う。大体、俺は風邪を引いても粥なんぞ食わない。粥もうどんも真っ当に生きている人間の風邪ごはんなのだろうが、俺は違う。カロリーを取りまくることで、体中にエネルギーを送り強制的に回復する療法を取る。つまり、米、肉、揚げ物、卵、果物などなどを食い散らかすのである。自分は風邪を引いても食欲だけはなくならないので、全くもって苦ではない。脳に糖分を回し、爆睡し、そして治す。The・荒療治というやつだが、全ての風邪を一日でねじ伏せてきたのだから、自分にはこれがあっているのだろう。


 とりあえず、家族が落ち着いたら少し食べ応えのあるものを作って、回復した家族の腹と空腹に耐えかねた自分の胃袋を満たしてやるのが、目下の目標である。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る