桂谷家の事件簿 

鷹山トシキ

第1話 桂谷家

 桂谷家は平和な西方にしかたの街に住む普通の家族だった。

 西方は隠語で

 監獄-〔金沢地方〕。〔第五類 一般建物〕

 刑務所。死んだことをお陀仏といふが、それより悪運の尽きたことをいふ故に弥陀の西方浄土を連想したもの。〔金沢県〕


 刑務所。死んだことをお陀仏というが、それより悪運の尽きたことをいう。故に弥陀の西方浄土を連想したもの。「にしのくに」ともいう。

 分類 金沢地方、金沢県

 

 しかし、ある晩、栃木県警の武田刑事が台所で蝋燭の明かりを頼りに訪れ、彼らの人生に暗闇が忍び寄った。武田は蜜柑の香りが漂う中、冷徹な表情で事件の真相を追究し始めた。 

「この中に宇合うまかい殺しの真犯人がいます」

 宇合は牛鬼ぎゅうき食品の社長だ。

 宇合はかっぱ広場で撲殺された。

  町北部の思川沿いにある。思川に伝わるかっぱの伝説より命名された。

 家族の秘密や繋がりが次第に明らかになり、サスペンスが家庭の中で繰り広げられた。

「たっ、武田さんの説明どおり私が宇合を殺しました」

 窓側の席に座っていた桂谷英子が震えるように言った。

 桂谷英子は宇合に食品偽装を命令された。

『うまくいったら社員にしてやる』

 だが、彼は約束を破った。

『鵜呑みにしやがって、おまえなんて使い捨ての駒でしかない』

 ハンマーで衝動的に殴り殺した。

 かっぱ広場は裏仕事の集合場所だった。

 英子は何者かにストーキングされていた。ストーカーが宇合かどうかは不明だ。宇合に聞く前に殺してしまったからだ。

「誰にでも過ちはありますよ。僕たちの仲間になってください」

 武田は復讐組織のメンバーだった。

 こうして桂谷家の戦いははじまったのだ。

 


 

 

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