第三十二話 修学旅行
それから周平は勉強漬けの毎日になり、私は一気にかまって貰えなくなった。
そんなある日不安げな私を心配した同級生男子にこんな場合の男心という女子の友達では決して判らない悩みの相談に乗ってもらっているうちに寂しさからつい体の関係を許してしまい・・・
なんてことには決してならない
もともと勉強嫌いの周平が特になにか努力しなければ入れないようなランクの高校など選ぶはずはなく、今まで通り、アルバイトしながらの生活で十分合格可能な学校を選んでいた
また、周平の将来プランである職人としての人生で工業高校卒業という履歴が必要なだけで、そのランクについては問題ではなかったこともその選択の理由で、つまり生活を大きく変える必要がないのであった
まあ、私としてはそれよりも、私との時間を大切に思ってくれてランクを選択したっていう理由の方がうれしさ倍増で良かったんだけど、決してそんなことはないと断言されてしまった・・・ちっ!!
もちろん生活が変わることがない以上、私も今まで通りに、周平に甘えて、抱きついて、ベッドに潜り込んでという変わらない日常を送っていた
当然のことながらけじめをつけるため、これまで以上の関係に踏み込まないよう注意深く振舞っていたが・・・
そこはそれ、やっぱり冬といえば欠かせない恋人たちのイチャイチャラブラブイベントが目白押し
クリスマスに、初詣、バレンタインデー!!!
これは何としてもこなさなければならない!
たとえ周平の人生一度きりの大切な高校受験であっても譲れない
なんなら、高校受験の年だからこそというのまである!!
私の方は修学旅行があったがずっと朱音と一緒にいるだけ、居場所が変わっているだけでやってることは何も変わりがない日常の延長でしかなかった
しかし、高校生・・・花のJKにそんな変化のない日常が許されるわけもなかった
修学旅行の自由行動の時、私と朱音が一緒に行動してたら二人組の男子に声を掛けられた
どんなイケメンでどんなタイプでなんてラノベ鉄板の解説なんかする気にもならない
私にとっては周平以外の男子なんて全部まとめてどうでもいい
どうやらその感想は朱音も同じらしい
ダメだからね!あれは私のなんだからね!!
でも朱音はなんだかそんな私のこともまとめて好きなんて言ってくる
私と朱音の二人で周平くんを襲っちゃおうかなんて冗談ともつかないことを、真顔で良く言うようになっていた
なんて考え事にうっかり集中してしまっていたけど
男子たちは気づかず口説きにかかっていた
「せっかくの自由行動で女子二人だけなんてもったいないじゃん」
「俺たちも二人だし一緒に回ろうよ」
「三浦さん?だっけ?俺たちのクラスでも美人だって噂になってるよ?」
「もう一人はなんていう名前なの?」
「俺たちから声かけられるなんて三浦さんと一緒にいてよかったね!」」
ああぁ、判りましたよ~、美人でモデル体型の朱音には用があるけど私はついで・・・っと
何が『一緒にいてよかったね』よ
なんか言い方ムカつく・・・
ほんと男って気持ち悪い
その点、周平は・・・なんて頭の中でのろけ始めてしまってた
私がいろんな感情に見舞われた挙句、脳内お花畑に逃げ込んだのを朱音が気づいて
私の脇腹をつついて覚醒させてきた・・・が・・・
そんな朱音の顔はどす黒くなってる
これ怒ってるよ・・・激おこだよね・・・冷え切った声でしゃべり始めましたよ
「ねぇ、二人の男子くん?」
朱音の怒りがよく判ってない男子たちは変わらず
「俺はさ、○○、でそっちの奴は△△っていうんだ、三浦さんも名前で呼んでいいよ」
「ねぇ、二人の男子くん?」
「私たち二人で自由行動満喫してるの。わかる?」
「そんな時に突然現れた挙句、親友のことをバカにしてきて・・・」
「そんなあんたたちのことなんてね」
「隣のクラスだろうが、名前が何だろうがどうだっていいの」
「わかる?」
男子たちは朱音の剣幕にきょとんとして
そして我に返ると態度を豹変させた
「なんだよ、ちょっと美人だからって、態度悪いんじゃねえ?」
「せっかく俺たちが声かけてやってるのに」
「一緒にいるそのブスの影響で性格ブスになってるんじゃね?」
「おいっ!行こうぜ?こんなブスだと思わなかったぜ!」
そう言われた朱音が切れちゃったよ
「はあ?何度も言うけどそっちが先にこっちの親友バカにしたんじゃない!」
「謝りなさいよ!」
「うるせぇブス!!」
「もう・・・最低!」
そして当然この出来事で二人の男子から恨みを買った私たちについては
修学旅行から帰った後、学校中に
『レズカップル』とか『性格ブス』とかへんな噂がしばらく流されていた
男ってやっぱ最低だよね、と、私の男嫌いを加速させただけの出来事だった
~~~~~~~~~
次回は「クリスマスイブ」です
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます