第九話 衝撃の午後 その二

俺は小澤早千江から彼氏と呼ばれている。


入学当初、教室で隣同士になり、いろいろ話してみると、なにかと同じような感じなので、イチかバチかで告白してみた。すると彼女のほうもそう思ってくれていたらしく、すぐにOKをもらえた。


早千江は見た目はまあ普通よりちょっと美人風で、見た目も性格も気に入っていたので、付き合えて本当に良かった。


中学時代は仲良くなったかなぁと思った女子に告白しても、なんだかよく判らない反応をされ、明確な返事がもらえなく、だんだんこっちがこんなに真剣なのに、どうしてそんなにいい加減なのかと怒れてきて

「こっちが真剣に話してるのになんだよその態度は」

と俺の正当な要求を口にすると、それ以降よそよそしくなる。


どうしてこんなにも世の中の女子というのは自分勝手なんだ・・・


思わせぶりな態度だけして、こっちの気持ちを弄んで、盛り上がって告白するとよそよそしくなる。


その点、早千江は違う。


彼女は俺のことを弄んだりせず、告白を受け入れてくれた。


彼女は奥手なのか、俺とはまだ手もつないでないが、きっと恥ずかしがり屋さんで、本当は俺にぞっこんで、と考えてるに決まってる。


女子なんて結局、男子とイチャイチャするのが好きで、その眼鏡にかなう男子の登場を待ち望んでいるだけの、王子様症候群だろ。


早千江の抱かれたいのだって、OKがあんなに早く、手もつないでないうちに家に男を迎え入れるんだから、そうに決まってる。


その割にベッドも用意してないなんてな・・・


服の上から見た限りではあんまり胸もないみたいだし、自分に自信がないのかな?


揉めば大きくなるって聞くし、俺がたっぷり育ててやればいいよな。


俺は両親から一人っ子だからと大切に育てられた優秀な男子だから、そんなおれに抱かれることを望んだ早千江は、多少抜けていてもまあ許してやるよ。




私は彼がおトイレに行った間、一人残って自室でふんわりまったりした時間を過ごしたことに満足していた。


彼の優しい瞳に見つめられて、肩を抱かれたりしたらどうしよう?


いや、彼はそんな性急なことはやっぱりしないよね?

手をつないでくれるかな?

なんかドキドキしてきた。


彼がおトイレから出てきた。


私の部屋に入って来て、その優しい瞳で私を見つめて・・・

手を差し伸べてきた。


ドキドキする。

どうしよう?


手をそっと握って立ち上がらせてくれるのかな?

部屋にいるのも飽きてきたのでどこかに散歩に行こうと誘ってくれるのかな?

まさか、もう帰るなんて言わないよね?


私なんか失敗しちゃったかな?


飲み物用意するのすっかり忘れて話し込んじゃったし。

そんなこんなを一瞬でいっぱい考えながら私は彼の手を取った。


そしたら、いきなり押し倒されて、服の上から胸を強く触られて・・・


何が何だかさっぱり判らない。


えっ?なに?私なんか気に障ることした?


どうして胸なんか触るの?

正弘くんお願いやめて?


彼の手が胸を触ってきて、そのままどんどん下に降りてきて・・・


おなかの上からスカートに、スカートの上から女の子の大事な部分をまさぐると・・・


そのまま降りて行って・・・

スカートの裾から中に入ってきて・・・


そこで、ようやく私は襲われていると理解した。


急速に嫌悪感と恐怖が沸き上がり

頭の中が真っ白ですぐにどす黒い恐怖に覆われて・・・

「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

「助けて!!やめて!!!!!」

「正弘くんこんなことやめっ」

バシンッ

大きな音とともに言葉が遮られて

頬に強烈な痛みが走った

正弘くんに叩かれた


心がより一層どす黒い恐怖に覆われて言葉を出すことができなくなった



「あぁ・・・結局男子なんてみんな同じ・・・」

「女子のことをいやらしい目でしか見ないんだ・・・」

・・・・

・・・・

・・・

・・・

「周平・・・助けて・・・」

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