第三話 踏切の出会い

ある日、僕は姉ちゃんの高校の最寄り駅にあるショッピングモールに来た


中学校の技術の授業で興味を持った工具を物色した帰り


踏切を通りかかると目の前で、女の子が乗っていた自転車が動かなくなりすごく困った状態になっていた


しかも、踏切の警報器が鳴りだし、遮断機が下り始めた


女の子は当然めちゃくちゃ焦っている


僕は大急ぎで近づき

「僕が自転車を運ぶので早く踏切から出て!」


「あっ・・・ありがとう!」


僕は彼女の自転車を持ち上げて運ぶと踏切から出た

そして、自転車を見てみるとチェーンが外れているだけだった

「チェーン外れてるだけなので直してもいい?」


「えっ?そうなの・・・直せるの?」


「うん」

そう言うと僕は彼女の自転車のチェーンカバーを分解し

外れたチェーンを付け直して

チェーンのテンション調整をしてカバーを元に戻した


「直しておいたよ」


「ありがとう!」

「すごいよ君!」

「自転車動かなくなるし踏切閉まるし超焦ってたら・・・助けてくれて」

「しかも自転車も直してくれて」

「ほんとありがとね!」


「うん」


「ねえ、どうして助けてくれたの?」


「どうしてって・・・お姉さんが困ってたから・・・?」


「どうして疑問形?」

女の子はくすくすと笑う


「うん・・・ホント言うとね・・・」

「自転車だともしかしたら障検に引っかからないかも知れないなって思って」


「しょーけん?」


「踏切にある障害物検知装置のことで、踏切内の車を検知して列車を止める安全装置・・・」

「ただ車を見つけるための装置だから人や自転車は見つからない場合があるんだ」


女の子は青くなりながら聞いてくる

「それじゃあ私、はねられるじゃん・・・?」


僕はうなづきながら

「うん・・・まあ・・・最悪?」

「結果無事だったし・・・まあ結果オーライで!」

「それじゃあね!!」

こう言うと僕は女の子と別れた


女の子・・・高校生ぐらいのものすごい美人さんだったが青くなって固まってた


もう多分会うこともないだろうけど

ちょっと脅かしすぎちゃったかな・・・?


まあでも、本当に結果オーライで無事だったから良かったよ・・・



私は先ほどのことを思い出していた


多分中学生の男の子


なぜかカバンからねじ回しが出てくる不思議な男の子


あのままだとどうなっていたんだろう?


まわりの大人たちはどこか他人事の目線でかわいそうな物を見ているだけだった


障害物検知装置・・・彼の言っていたことをちょっと調べてみると確かに自転車は検知されないことがあるとなっている


本当に最悪私ははねられてたかもしれない・・・


あれ・・・?それって彼は私の命の恩人?


後になって考えれば考えるほど本当に私は彼に命を助けてもらったことになる


ダメだ~!後になってだんだんムチャクチャ彼のことが気になってきた


名前ぐらい聞いておけばよかったよ

また会えるかな・・・

会いたいな・・・

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