『酔うべきはうつくしい女』

 自分の恋から、恋が分からない女。

 恋ではなくて、異性が好きな女。

 まともに狂ったことがない女。

 何も盗られたことがない女。

 本当に卑しい男から、声を掛けられたことがない女。

 他の誰かを助けるために、手を差し伸べたことがない女。

 いやらしい男から声を掛けられることに悦び、自分は常に手を取ってもらうべき女だと信じてる。

 月の所為にして。月の所為にして。

 一番にはならない女。

 だけれど二番目にされることを、恨みがましく拒んでいる。

 うつくしい女に、狂ってみてはいかがかしら。

 うつくしい女の性(さが)に、狂ってみたらどうかしら。

 月の所為にして。月の所為にして。

 女は女にもてなくてはいけなくてよ。

 女は自分の内なる女に、敵わなくてはいけないのよ。

 恋と男が学びのようでは、女は女になれないわ。

 女はうつくしい女に狂うべきだわ。

 女はうつくしい女の狂気に、惚れてみるのが一番いいわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る