第194話 顛末
「なんて言ってるの?」
「俺もはっきり聞き取りが出来る訳じゃないんだが…」
なんかお偉いさんがマイクを持って裁定の理由を英語で喋ってるんだけど。
韓国の地で、日本人と韓国人の試合なのに、英語で説明するってどうなの? 観客も大抵の人はポカンだろうし、俺もポカン。多分ガンホ選手もポカンだろう。
ガンホ選手が英語出来る人間とか、解釈不一致だし。もし出来る奴ならなんか負けた気がするからやめて欲しい願望がかなり入ってるけど。
なんかこの辺は英語圏の人がナチュラルにアジアを見下してる感があるよね。本人はその気がないのかもしれんが、こういう時ぐらいせめて韓国語で説明するべきだろう。
あ、ほら、説明が終わった後に別の説明する人が出てきた。ただの二度手間じゃんね。
「要約すると、審判が割り込んだ時点で試合終了が成立したって事で良いの?」
「まあ、そうだな」
審判が買収されてた割には柔軟な対応だな。流石にあれはどうしようもないと思ったか。
まあ、それはそれとして。
「むう。釈然としないな」
「きちんと勝つ機会はあった。自業自得だ」
「だから正論パンチはやめてもろて」
「決めるべき時に決めてれば、こんな話が拗れる事は無かったし、危険な目に遭う事もなかった。あのハイキックが当たってればどうするんだ? もしかしたら選手生命が終わってたかもしれないんだぞ?」
「ごめんなさい」
どうやらパパンは俺の思った以上にご立腹な様子。確かにたまたま身体が反応して避けれたから良かったけど、あれ、当たってたらやばかっただろうなぁ。
滅茶苦茶綺麗に俺の側頭部を捉えてたし。
反省しなければ。決めるべき時にしっかり決める。試合でどれだけ有利だろうが、腹が立とうが、感情に左右されないようにする。
ボクサー生活で一番面白くないガンホ戦だったけど、一つ大人になれたかもしれんな。そこだけはほんの少しだけガンホ選手に感謝しなくもない。
これからもダーティなプレイをするボクサーに当たるかもしれないし、その時は今日の試合を思い出すようにしよう。
ムカつく奴はそれまでの怒りを込めて、一撃で仕留める。要するに、一撃で選手生命が終わる程のパンチを身に付ければ良いって事だな。
今回の試合でウェルター級は卒業する予定だし、スーパーウェルター級で更にウェイトアップが出来る。筋肉もより付けられるって事だし、パンチ力も上がってくれるでしょう。
当然相手の脅威度も上がるけど、俺にはチートの特典さんがある。階級を上げても上手く対応してみせるさ。
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ボクシングの階級について調べてたんですが、ライトヘビー級からクルーザー級への振り幅凄いっすね。これまで通り大体3kgぐらいで刻んでるのかと思ってたら、一気に10kg以上増えてる。
まだ先の話だしーと思って調べてなかったんですが、本当にびっくりしました。で、その関係で色々クルーザー級について調べてたら、すっごい日本人が出てきて。
西澤ヨシノリさん。
この人のWikiを見てすっげえなぁって。
何事も一つのことを貫き通せるって本当にカッコいいですよね。作者なら何回も負けたら心が折れる。
殴られたら痛いし…。
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