第21話 イルカの話

 蘇我入鹿という飛鳥時代の人がいるのは知っているだろう。

 存命の時代区分については自信がないのだが、この人物に少し疑問に思っていることがある。

 入鹿という名前だ。

 当時の命名法則がいかなるものか分からないが、彼の父も妙な名前をしていた。

 これは一説によると歴史の記録者が彼らを貶めるために別の名で記載したのではないかという。

 ただこの一説というのが曲者で、いつだれがどんな場所でいかなる立場で唱えたのか、私は知らない。

 つまりどこまで信用していいかわからないのだ。

 ともかく、入鹿という名前はすこし変わった命名に感じる。

「いるか」という読みも気になる。

 入鹿というのが当て字だとしても、実際はどういう意味の言葉だったのか。

 もし海洋生物のイルカにちなんで名付けられたとしたなら、彼の名付け親はどこでイルカを見たのだろうか。

 生きているイルカなら海沿いで暮らしていた時期があるのかもしれないが、食料として持ち込まれたものなら山の中でもおかしくはない。

 しかし、食料としてイルカを見たのならあまり縁起のいい名前には感じられない。

 ともかく、ときどきこんな下らない疑問に悩まされることがある。

 調べればすぐわかるかもしれないが、他のことをしているうちに忘れてしまうことも多い。

 調べてわかったからといって、長く記憶できるかも怪しいものだ。

 また同じ疑問にぶち当たったときに思い出せずゴタゴタしてしまうかもしれない。

 まあ、調べたほうが有益であることは重々承知しているのだが……。

 

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