第7話日記
桜の訃報を聞いてから俺の心はもう何処にも無かった。
アイドルが大好きでご両親にアイドルのグッズやCDなどを強請り夜中に病室を抜け出し歌っていた桜はもう居ないのだと知らされても実感が持てず俺は桜にメッセージを送ることにした。
だが、メッセージを送れば桜がもう居ないことを認めざるを得なくなるのが辛くなりアプリを閉じる。
そして黎にぃちゃんに通話出来るかメッセージを送った。
30分後黎にぃちゃんから返事が来た。
"通話は無理だけどメッセなら行けるぞ。どうした?"
"桜の家の住所とか知らない?"
"俺の知り合いに桜ちゃんの知り合いが居るからソイツと連絡してから教えるわ"
"ありがとう"
"へいへい、あんま思い詰めるなよ"
"うん"
そして黎にぃちゃんから桜の住所とお墓まで教えて貰い俺は明日早速行ってみることにした。
翌日俺は休日の静かな電車に乗り込み桜の墓へ向かう。
無事に桜の墓へ辿り着き花を供え桜へ挨拶を済ますとふと人影が視界に入る。
「あぁ…君は…明君か。久しぶりだね」
「お久しぶりです…」
「そうか…気付いてしまったか…」
「え?」
「君が桜のことを好意的に思っていたことは明らかだったからね。ショックを受けないように親御さんが伝えてないだろうと思っていたから…」
そこで俺はもう桜のことはみんなが知る"事実"でみんな俺を傷つけまいと黙っていたのかと思い知った。
「そうだ、君に見て貰いたい桜の日記が家にあるんだ時間はあるかい?」
「あ、はい!大丈夫です…」
そうして身構えながら桜のおじさんに招かれ俺は桜の家に上がった。
「大したものはないけどゆっくりしててね」
と言いお父さんは桜の部屋から日記を取りに行った。
しばらくするとおじさんが戻って来る。
「はい」
「ありがとうございます」
日記を受け取りページを開き日記を読み進める。
渡された桜の日記は俺への想いで溢れていた。
次第に涙が浮かび上がり拭っては浮かび上がりを繰り返しながら桜の日記を読み終えノートを閉じるとおじさんが口を開いた。
「ありがとう、あの子の青春時代を共に過ごしてくれて…あの子は口を開けばいつも君のことを話していたよ」
「おじさん…」
「さ、今日はわざわざ遠くまでありがとう。送るよ」
と言われ時計を見ると18時だった。
「ありがとうございます」
そしておじさんの車で帰宅した。
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