おまけ ケヴィンとビート

【ケヴィンがアメリヤに1度目のプロポーズを断られてから、2度目のプロポーズまでの間のお話】





「あのさあ、ケヴィン。アメリヤにきっぱりと結婚断られたんでしょう?屋敷で大人しく仕事してなよ。しつこい男は嫌われるぞ。」



 赤ちゃんの面倒をみるため、プラテル屋敷に行けなくなったアメリヤの元に、ケヴィンが時間を見つけては足しげく通ってくるようになっていた。

 以前と違って、事業など色々と忙しいだろうに、片道2時間近くもかけて通ってくるケヴィンに、ビートは呆れていた。



「絶対に諦める気はないね。契約期間もあと1か月あるし。」


 大量にあるジャガイモの皮を、器用にクルクルと剝きながら答えるケヴィン。同じくビートも手を動かしている。



「大体お前わざとらしいんだよ。アメリヤの見えるところで子供たちの荷物運んであげたりとかさ。アピールだろ。」

「当然だ。あと1か月しかないんだぞ。必死にアピールするに決まっているだろう。」

「・・・・くっそー、俺だって子供たちの荷物くらい、毎日運んでるっての。」



「あ、アメリヤだ。」



ケヴィンの声に見上げてみると、赤ちゃんを抱っこしたアメリヤが、2階の自室から、野菜の皮をむいている2人を見つめていた。


ケヴィンが手を振ると、顔を赤くして引っ込んでしまう。


「ふふっ、可愛いなぁ。」



 その様子を見て、余裕そうに笑うケヴィン。



「ビート、ありがとうな。今までアメリヤについていてくれて。お前だったら、良い仕事先の話だって、これまでいくつもあったんだろう?」

「いやあったけど。なんでもう勝負に勝った気でいるんだよお前。なんだよ今までって。これからもずっとアメリヤの側にいるわ。」




ビートとケヴィンは、2人で一緒に仕事をする機会が多かった。ビートのほうが仕事を教える立場であることもあって、2人きりの時は意外なほど、気安く話す関係になっていた。


それまでの友人たちが離れていっていたケヴィンにとって、なんのしがらみもなく普通に接してくれたビートが、とても大切な存在となっていた。


しかし大切な友人とはいえ、どうしても譲れないものがある。


「悪いなビート。どう見ても脈ありだ。」

「くっそー!」






 ケヴィンとビートがそんな会話をしていたことを、もちろんアメリヤは知らない。








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