おとぎ戦譚

晴羽照尊

プロローグ

おとぎ話の続きの物語


 これは、みなさんがよく知るおとぎ話の続きの物語。

 たくさんの物語がありました。それはとってもびっくりするようなもので、かわいそうなこともありましたし、最後は幸せな物語でもありました。

 だけど、それだけで彼らや彼女たちのすべてが終わるわけでもありません。物語が終わっても、物語の世界は人知れずひっそりと続いているのです。

 物語は人々のためにあるのです。だから物語は、人々の都合のいいかたちで終結します。でもほんとうは、みなさんの知らないところでまだまだ続いてもいるのです。

 物語は、けっして終わることがありません。たくさんの人々に語られ、読まれ、愛され、いつしか人々の中で、その人のためだけのものにまで熟成されていくのです。

 だから物語は永遠なのです。

 だから物語は無限なのです。

 これから綴られますは、そんな物語の、ひとつまみ。

 きっとみなさんのよく知る、もしかしたら知らない物語の、その後日談。

 人の子へ希望を示す『童話の世界』と。

 人の子へ絶望を齎す『怪談の世界』の。

 それぞれの存在をかけた、大勝負。

 こどもがおとなになるために、きっととおる道筋で。

 おとながこどもをうらやんで、いつかくやむ旅の跡。

 そして、あいまいなあなたが、ほんとうのあなたを見つけるためにここで出会う、とっても不思議で、すっごくかんたんで、ありきたりな夢の一幕。

 この中のどこかにあなたはいて、そしてどこかにあなたのよく知る誰かもいるでしょう。

 そんなふうに身近で、だけど絶対に違う世界。

 とりとめのない夢物語のような、空想と現実のはざまの絵空事。

 それではちょっとお耳を拝借。おおきな声では語れない、きれいなだけじゃない内緒のお話し。

 はじまりはじまり。




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