気づけば味方にいるタイプの圧倒的な強キャラになってました
五色団子
第1話
幼少期の楽しみは消防隊員であった父とのトレーニングだった、父子家庭であった私は父が大好きだった。私が父の真似をしてそれを見て父がほんの少し笑う、それが楽しかった。
小学三年生になる頃に私は柔道を始めた、父からの勧めと父のような屈強な体になりたいという思いがあったため、柔道をそこそこ熱心にやっていた。
中学は寮で親元を離れより柔道に専念をした、家に一人で残した父のことはいつも心配だった。先輩からのしごきやその学校の伝統的なトレーニングでかなり筋肉がついた。それに比例するように身長も伸びた。
高校は県を飛び出し、そこそこの強豪校に入った。高校でも身長が止まることはなく、平均を大きく超えるほどになっていた。100kg超級だったので体重を気にせず食べてバックアップに励んでいた。
ライバルがいい刺激となり本当に楽しかった。自分たちの代は『柔道部 地区大会優勝!』という垂れ幕が団体と個人それぞれの階級であるほどに豊作だった。自分もギリギリ出場することができた、私にとって満足できる結果だった。
大学は柔道の成績を使い、柔道強豪校に入学した。同じ高校出身の同期のおかげで不自由なく生活していた、結果を残し、体をより良いものにしていった。
同期からは何を目指しているのかと何度も聞かれたがそのたびに『父親』と答えていた。そのせいで自分の父親が同期の中で化け物のような存在になってしまったことは一生の笑い話だろう。
大学卒業後はこの体を使って誰かの役に立ちたいという思いから、自衛隊か警察官のどちらかになろうと決めた。同期が警察官になるとのことで話を聞いているうちになりたいという思いが高まり、警察官になることにした。
一回親元に帰り、父親といっしょに生活をしばらくしたあとに警察学校に入学した。警察学校は自分が知らない事を学べて面白かった、柔道でしごかれていた体に警察学校の訓練はよく馴染んだ。結果的に首席で卒業することができた。
卒業後は警察学校の恩師の勧めから機動隊になった、今までの柔道の成績から機動隊の中でもエリートと言われるところに入れたことは本当に嬉しかった。その分訓練はきつかった、きつい訓練によるふくらはぎと腕の筋肉痛に苦しんでいるときにそのニュースは飛び込んできた。
『宗教団体ヒペリカム広域指定犯罪組織認定』
宗教団体ヒペリカム、最近のニュースを騒がせている存在だ。最近、我が国全体でこの団体の信者を名乗る者たちが殺人・強盗・詐欺などの犯罪行為をしている。何より騒がせている一番の原因は自分たちには超能力があると言って譲らず、教祖から力をもらっていると言っているところだ、メディアはこれを『強力な洗脳がもたらす集団錯乱』といい厳しい目で見ている。
もちろん警察も放って置くわけにも行けずに目をつけていたが本部がない、代表や幹部の正体が謎に包まれているとして手出しができていない状態が続いているらしい。
まあ、自分たち地方の機動隊にも大きくはないだろうが関わるだろうと思っていた…次の日の朝までは。
11月23日
「異動って、どういうことですか!まだ半年もここにいないですよ、おれ!」
声を荒げているのはその部屋が少し小さく見え
るほどの大柄の大男。
「まぁ、少し落ち着きなよ、大鐘君」
大鐘君と言われた大男こそが俺、
朝の交代前に上司に呼ばれたかと思えば、いきなり異動の話である。
「…すいません」
上司の前でこれはまずかった、反省だ。
「…君の異動だか、ほぼ決定事項と言ってもいい、これは緊急の要件のため来週には東京に行ってほしい」
「来週!?」
「そうだ、急で申し訳ないが本当に緊急の事のようだ」
「しかも東京にですか?」
「そうだ、要件は極秘情報なため知らされていないが警視庁に異動だ」
警視庁…この国の警察のエリートがいるところで、何故自分が呼ばれたのかわからないほどの雲の上の人々の仕事場だ。
「警視庁ですか、」
「今日中にここを出て向かってほしいとのことだ、向こうでの住居は手配されているそうだ、詳しいことはこのファイルに書いてあるそうだ」
緑色の妙に厳重な書類ケースを貰った、開けるためにロックを解除しないといけない見たことないタイプだ。
「こっちも本当に何もわからなくてな、済まないがこれが限界らしい」
この人(上司)がこんな顔をするのかと思うほ
ど、複雑で混乱している顔をしていた。
「…というわけで、説明を終えたため、これを言い渡さないといけない…
君を只今より〇〇県機動隊より除隊する、短い間よく務めてくれた」
よくわからぬまま部屋を追い出され、今日の仕事が全部なしになり、圧倒的に説明が足りない中、とりあえず家に帰れと言われてしまった。
これまでを振り返りひとまず言わせてほしい…
「わけわからんって…」
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