黒い落描き

永寝 風川

黒い落書き

「あ、帽子...教室に忘れた...」


とある小学校に通っている小学生2年生の描宿 かしゅく そらは中庭で次が体育の授業にもかかわらず、帽子を教室に忘れてしまったことに気づく。


(そろそろ授業始まるし早く取りに行かないと...)


どうやら、彼は着替え終わるのが遅くなってしまったようで、空が出てきた校舎からは誰も出る様子がない。

空は時間がまずいと思い素早く校舎に戻る。


この小学校は全校生徒1079人で3階だての校舎が三棟さんむねと体育館がある、大きな小学校であり、1 3 5年生のクラスがある1校舎、2 4 6年生のクラスがある新校舎、そして理科室や職員室などがある2校舎があり、新校舎と1校舎に昇降口がある。そして上から見るとTの形をしている小学校だ。


(えっと...2の4...2の4..)


空が一つ一つ下駄箱げたばこの横面に書いてあるクラスの学年と番号を確認していると、2の5の下駄箱に黒い人影がおり、下駄箱の上から2段目か3段目を見ていた。


(黒い人影か....)


「...え?」


空は一瞬スルーして、2の4の下駄箱を見つけた瞬間その事に気づき2の5の下駄箱を待た見るがそこに黒い人影...というか今思うと人の形をした黒い物はどこかに消えていた。


「早く取り行こ...」


空は怖くなって独り言を言いながらも、下駄箱の中に靴を入れて上履きに履き替えると、小走りで自分の教室に向かう。

新校舎廊下はかなり広く車何台か入るんじゃないか?と思えるくらいだ、しかし今は教室、廊下の全て電気が消えており廊下の端っこにある大きな窓と教室の窓から出ている太陽の光しか光源がなく、さっきの事も相まって、怖い雰囲気を出している。


「...?」


空は教室の大きなガラスがはまっている引戸ひきどを横にスライドさせて開けると、黒板に目を動かす、理由は行く時にはなかった落描きがあったからだ。

その落書きは教室窓から出ている太陽の光でよく見えてしまう、その落書きは黒板の3分の1ぐらいを使って書かれていて、黒板に書いてあるのに何故か黒い鉛筆で書かれおり、見た目は長方形の中に頭が大きな1つ目だけの棒人間が一体書かれており長方形の横にはくっ付くように長方形の中にいる棒人間と同じ頭が書かれて、そしてその頭から腕のように細い長方形がある、足の所は細い台形にひづめのような線が書かれてまるで小学生低学年の子が書いたような下手な絵だった。


「とりあえず帽子...」


空は嫌な予感がありつつも教室の中に入り、教室の後ろにある箱のロッカーからバッグを取り出し、帽子を手に取ると急いでバッグを元の所に直して後ろを振り向くと。


落書きが目を動かして空の方見た


「ぇ...ぁ..?」


空はいきなりそんな事が起きて変な声を漏らしつつも確認のために引戸の方に移動する、しかしその落書きの目は空の方に目を動かす。そしてその落書きが文字通り浮かび上がる、


「に、逃げ....」


空がそう言って目をその落書きから逸らし、立った瞬間ドスンと音がした、空は本当にそれが出てきたのかを確認せずに正面玄関を目指して走る、教室から椅子や机が倒れたりする音が聞こえ落書きが教室から出てきて空を追いかける。

その落書きは見た目に及ばす、移動するスピードが早いが幸か不幸かその怪異はどうやら空のスピードより遅く少しづつ距離を開けていく、空は少しづつ遠く感じるドスドスという音に安心し、チラッと脱出先という正面玄関を見た瞬間、空はついさっきまで喜色満面きしょくまんめんになりかけていた顔を恐怖と絶望が入り交じったような顔になり胃袋から何かが込み上げる感覚になる、そしてすぐさま目を正面玄関から逸らし曲がろうとしていた足を無理やり戻してそのまま廊下の端っこを目指す。


(う..ぇ....な...にゃう..な...あれ....!がぁ....あ....なにあれ、うぅ...なにあれ、なにあれ!)


正面玄関には何故か白の方が多いいが色とりどりの柱が沢山あり、その柱は全て1部かけていた。そしてその1部から巨大なトンボ、ゴギブリ、蚊、百足、という様々な

むし、ムシ、虫、蟲...

そう言うくらい多くの虫が体の1部が溶けて入っていた、この虫達は飛び出してくる気配は無いしかし、見た瞬間ものすごい吐き気に襲われるほどにギチギチにドロドロにそしてモゾモゾ蠢いていた。

しかし彼は休憩する暇はない、今も後ろからドスドスと足が聞こえるからだ、ようやく廊下の端ら辺に来ると階段を登るために曲がろうとすると目の前に扉があった、彼は急いで忘れていたが新校舎と1校舎を繋ぐ渡り廊下があったのだ。


「やった...これで...」


空は急いでその扉に近ずいて扉を開けようとするが無理だった、理由はドアノブがなく、そもそも近ずいた瞬間小学生が書いたような扉に変化してしまったからだ。

空は急な変化に混乱し扉に体当たりしてみるも反応はなく後ろからどしどし音がするため急いで階段を駆け上がる。

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2階に着いた瞬間どしどしという足音は消え去り、空は安心すると同時に正面玄関で見た虫たちを思い返して少し吐いてしまう。


「うっぇ....うぇぇ....」


少しして空は顔はとても怯え声は震えつつも廊下の方を見て


「か、帰る..ぃ、いぇにか、かえんる、んだ....」


空はそう言うと、とりあえず後ろにある2階の渡り廊下の扉を確認するもやはり1階と同じ感じになっており脱出は不可能だったため、廊下に顔を覗かせてみる、2階の廊下は1階の廊下と似ていたが、やっぱりと言うべきか昇降口はなく代わりにちょっとした空間と柱1本が見える、しかしこれは前普通の2階に来た時もあった為気にせず、他に落書きのような物や柱のような物は一件何も無いように見えたため、廊下に出てゆっくり歩いてみる。

空は周りを警戒しながら歩いて柱の所まで来るが特に変な物もなく、安心してその場に座りこもうとするが頭に浮かんだ。


(....も、もしも、休憩した途端急に出てきたり...ゲームとかでよくある時間経過でや奴が出てくるとかだったらどうしよう....)


空はそう思うと様々な不安が出てきたため、目の前にあった教室の引戸を音を出さないようゆっくり開けて中に入り、そしてゆっくり教室を確認して何も無いことを確認して引戸を閉める。


「ち....ちょうどいい隠れ場所...」


空は少し震える独り言空言うと、教卓に近ずき屈んで入ってみる、空が思うよりすんなり入ってある程度スペースもあったためここで休もうと体から力を抜く、そして教卓の足の隙間から目を覗かせ変な物が入ってこないか確認しておく。


しばらくたっても廊下に変化はなく、空は安心もあると思うが教室の窓から出ている太陽の光の暖かさもあるり、うとうとし始めている。


(でも...起きて...ないと何かあった時に対応できない...かも...)


心の中でそう思うがやはり眠気の方が強くなっていると、教室の引戸越しに何が見えた、それは昇降口で見たあの黒い影であり、ゆっくりと廊下を歩いていた、空はそれが見え頭が冴えたが、声を出さずに音を出さずにその黒い影が通り抜けるのをじっとみる。

理由は空の考えではあの黒い影がこうなった原因だと思ったからだ、そしてこういう原因はゲームとかだと、だいたい人等を見つけたら普通の奴らよりも早く移動してきたり特殊な能力を使ってくると思ったからだ。

空は黒い影が通り過ぎたのを確認して少し待ってから教卓から体を出して素早く引戸を開けると登ってきた階段とは逆の右方向に走って階段まで来る。


(ど....どっちがいいんだ...?)


空は少し登るか降りるかで悩んだが正面玄関にあった柱を思い返して3階に登ることを決め階段を登っていくのだった。

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3階に着くと、急に階段からどしどしという音がし始める、空は嫌な予感がしたため廊下をろくに確認せず、走りだし廊下に出てしまう。3階と2階はほぼ構造も同じであり、強いて言うなら、クラスが分かる札の学年が4年から6年になってるだけだ。

そして空が柱の所までくると前の地面に落書きがあること気づく、しかしその落書きは最初見た落書きとは違う落書きであり。

その落書きは最初見た時の落書きと同じ鉛筆のような物で書かれており、傘に見える落書きの持ち手の所から重ねるようにロケットのような物が書かれていて、そしてロケットと傘の三角のとこが合わさっている所が丸く塗りつぶされていた、その落書きは床をすーっと移動しながら空の方に向かってくる。


(よ、よけなきゃ)


空はそう思いその落書きを避けて横を突っ切ろうとした瞬間その床に書いてある落書きの黒鉛筆で丸く塗りつぶされてる所から頭が目の棒人間が一瞬で飛び出てきた。


「ひぁ...」


空がその声を漏らしながらも走り抜ける、しかしその目の棒人間も地面の落書きもは動くことなくただ空の方をじっとその誰かに書かれたような黒い瞳で見ているだけだった、空はそれを確認すると、体力温存が目的かはたまた恐怖せいか、走るスピードを少し落としてしまったがそのまま走りきり、階段の所まで来て素早く"階段を登る"のだった。


空が階段を登りきると、感じたことの無い感覚が頭に溢れてその場に倒れてしまう、少し経つとその感覚にもなれ少し立ち上がろうとした時、見えてる景色がおかしいことに気づく。


「あれ?今前...あれ?」


今空の顔は廊下が見える方を向いているはずなのに何故か天井も見えるのだ、空は顔を動かし試しに天井を見て見ると後ろにあるはずの一校舎と新校舎を繋ぐ渡り廊下の扉がある。


「あ、あれに見られたのが原因?」


空はそう言葉をこぼし、少しの間他の理由も考えたがそれしか理由が思いつかないため、そろそろ別の事をしようと立って、廊下に出ようとした瞬間とある事が頭に浮かんだ。


(...な、なんで....4階が...あるの?)


この改めて説明すると学校に建てられている校舎は3棟であり、その全ての校舎は3階建てだ、そして今空は新校舎の3階からこの階まで昇ってきたのだそう存在しない4階に...


「下に降りないと...」


空はこの階にいたらまずいと思い階段を降りるために階段の手すりに手を置いた瞬間、廊下からガジガジと何かを噛む音がしたため急いで階段をかけおりる。


(も...やだ...帰りたい...)


空は不意にそう思ってぽろぽろと涙を零しながら階段を降りていくのだった。

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とりあえず空は今まで1番安全だった2階まで降りてくると、またろくに確認せず廊下にでてしまう。


「ぁ...」


空がそう声をこぼした理由は廊下にある柱より前に教室にあるはずの椅子と机が空の方を向いてぽつんとあったからだ、しかしそれなら大丈夫だと少し安心して目の前の教室の中を見ると、その安心も崩れ去った、何故か全ての机の上に椅子が乗っていたからだ。


(何も起こらないで...何も起こらないで何も起こらないで何も起こらないで...)


そう心で念じて廊下を見ると廊下にあった机と椅子もいつの間にか教室と同じになっていた、そして次の瞬間、椅子の足が急に取れて机の足の間にくっ付きその八本の足が蜘蛛の足のように変形すると空の方に向かってきた。


「に、にゃげなきゃ...」


空はそういい階段の方を見たしかしいつの間にかそこにも机があり、空はすぐさま正面突破を選び走り出す、前から向かってくる机蜘蛛つくえぐもまだ慣れていないのか小回りが聞かなかったのか、空の急な方向転換に反応出来ず突破されるしかし空は安心せずに走り出す、空が柱の所まで走ると後ろの教室の引戸が倒れる音が聞こえ大量の机蜘蛛が出ててきた、空は追いつかれぬようもっとスピードを出して階段まで着き1階に降りる。


「はぁはぁ...はぁ...」


1階に降りて空は息を落ち着かせるが、上から何かが蠢く音がまだ聞こえる、空はどうしようかと素早く考え、1階には3組と4組間に物置にされている教室があることを思い出す、空はその教室に駆け込み、バランスボールや使われていない椅子や机の間にちょうどいい隠れ場所がないか探し、ちょうどいい所を見つけるとそこに隠れ息を潜める。


「ガタガタガタ」


と音がするて空は1体だけだが机蜘蛛を確認できる、空は(来るな来るな来るな!)と思っていながらも机蜘蛛の様子を確認している。

その1体の机蜘蛛が引戸のガラスごしからこちらを見たが特に何もないと判断したのかどこかに行ってしまった。

空は安心してとりあえず少しここにいようと思い、すぐ隠れる準備をして何か使える物はないかと探してみる、しかしお手玉やけん玉などの昔ながらのおもちゃしかなく困っていると、天井に変な物が映りこんだ。空は顔をうごかさず、何故か頭から見える視界でそれを確認する、それはあの落書きと同じようなもので、小さいが姿は長方形の中に瞳のような丸く塗りつぶされた物がある落書きだった。

空はそれを見つかったらダメだった物と感じ物置教室から出ると左の階段をめざし走ろうと思った時、正面玄関にあの色とりどりの柱がないことに気づく。


「無理だと思うけど...」


空はそう言いうが正面玄関に行って扉が開くかどうか確認する。


「...」


反応がなく、扉はやっぱり開かなかった。


(もう....帰れないのかな....)


空はそう思い絶望して体から力が抜けその場に座り込む。

少しして空は再び立ち上がり、正面玄関から離れて廊下に立つとゆっくり階段を目指す。


階段の所まで来ると空はゆっくりと階段を登っていく、2階についてもそのまま3階に登っていく、そして4階まで登ると空は立ち止まる。


「5階はないか...」


そう呟いく空の目には光はなく、そのまま躊躇なく4階の廊下に出る。

廊下は2階と同じで変わりは無く、軽く見ても落書きはない、そして空は走って廊下の端まで行ってみるもやはり変化がない、空は教室の中も1つづつ確認するが特に変化はなかった。


「....もう...どうすれば...」


登ってきた階段の所に戻ってきた空はそう漏らし、そして壁を殴ると、階段周辺の壁全てに1階の物置教室の天井にいた落書きが現れる。


「...どうなってもいい...」


空がそれを見て絶望し、その言葉をこぼした瞬間小さいが人の声が聞こえた。


「た....」


空はその声を聞いて目に光を取り戻すと、走って階段を降りてとりあえず1階まで降りて廊下に出て叫ぶ。


「誰か...!いますか!」


そう叫ぶと後ろから4階で聞いた声が聞こえる。


「たな...」


その声は小学生ぐらいの人の声だった為、空はやっと人に会えると思い笑顔で後ろを勢いよく振り向いて絶望する。


また落書きだった、しかし落書きは見た事の無い落書きで、見た目は四角が縦半分に別れて降り、その間に鋭い大きな牙が何本か生えており、その四角を繋ぐように横に一本線が引かれていて、その一本線から異なる長さの線が三本縦に書かれてその3本線の間に目のようなものが書かれている。


空はそいつから逃げる、しかしその落書きは今まであったやつらよりも早くそして長く追いかけてきて空は4階まで登ってきてしまった。


「た...な..」


空が4階についてもその声が聞こえてくるいや、姿が確認できるまで近くにいた。

空は4階の廊下にでて走って柱手前まで来た瞬間、右足の感覚がなくなり、倒れ、激痛が走る。


「ぁ..!痛い...た、たしゅ...け..てよぉ....」


空は叫ぶ力もなく、小さくそう零すが奇跡は起きない、そして床には長方形の中に牙が沢山ある落書きが空の足を食べて骨を吐き出し、空の足から漏れ出ている血を飲み込む。


「も..やだ...」


空がそう言いながらも体を引きずり前に移動していると見覚えのある落書きが前に出てくる、一番最初に出会ったあの落書き....

その落書きは空に3の目をギョロりと向けるとその足で空の頭をぐちゃっといとも容易く踏み潰した。

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「はぁ...ほかの先生も帰っちゃたから私も帰らないと...」


とある学校の先生がそうつぶやき帰る用意をしていると、ガラス越しに廊下に黒い影が見えた。


「疲れてるのかな...黒い人影なんてある訳ないのに...」


先生が疲れた声でそう言い職員室の電気を消して廊下に出ると、廊下の電気も消して2校舎正面玄関まで向かう。


「え?」


正面玄関には落書きがあったその落書きは正面玄関の靴を履き替える所にたっており、見た目は縦に長い長方形で右上には何故か斜め線が書かれている、そして長方形の中心にエジプト壁画によくあるような目が書かれていておりその真上に普通の目が書いてある。


「な、なにこれ...?」


先生はそれに触れようとすると、後ろから何かが落ちてくる音がした、先生がゆっくりその方向に振り向くと。


何かが見える、その何かは。


「たな...たな...」


と呟いているのだった。

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