第十三話 冒険者だったらみんなよくやってる情報収集~




 いや、ステータスの恩恵すげえ。


 夜で人がいなかったからとはいえ歩道をあの速度で走れたし、あっという間に寮まで辿り着けた。


 こんな時間に寮に帰っても食堂は閉じてて晩飯は深夜までやってるスーパーで買った半額弁当だ、同じく風呂も終わってるから風呂にも入れないけどな。


 あ~汗臭い。明日の朝、最低でもシャワーを浴びて学校に行かなきゃいけないぜ。


 よく考えたら途中にあるスパ銭で風呂を済ませりゃよかったんだよ、流石にその位の予算はあるんだし。身体能力が上がったのがうれしくて家に着くまで風呂の事とかすっかり忘れてた。


「という訳で、ようやく辿り着いたぜ俺の部屋!! 冒険者は生活リズムがバラバラだから狭い部屋だけど完全個室なのが最高だ。狭いけど」


 大事な事なので二回言いました!! 狭いんだよ、マジで!!


 俺達が割り当てられた寮の部屋にはベッドと机が設置されているけど、それ以外はホントに何も置く場所が無い。


 トイレは共同のトイレが同じ階に何ヶ所かある。水道はついて無いけど、超小型の冷蔵庫は設置されてる。


「一応ネット環境だけは整ってるし、ノートパソコンも支給されてるけどさ」


 旧型のノートパソコンを動画編集などの目的で配布してくれている。


 ネット環境にしてもダンジョンやスキルの情報を調べる為の物で、エロいサイトを利用しまくるとメールで警告が来るらしい。


 過去に何度か警告が来たサイトの中で安全が確認されたサイトはみれるらしいけど、やっぱりエロ専門のところとかは閲覧禁止のままだ。


「今はエロサイトなんてどうでもいい。とりあえずスキルとクラスを調べないとな」


 まず最初に目を付けたのは冒険者攻略サイト。


 ここはスキルやクラスの詳しい説明が乗ってるし、噂レベルのクラスやスキルの情報も詳しい。


「ヒーローは……下位クラスに該当なし。中位クラスにもない。……上位クラスにも特別クラスにも存在が無いんだけど!! もしかして隠しクラスか!! それとも灰色専用なのかわからないな」


 四色持ち専用クラスの英雄はある。


 だけど、英雄のクラス持ちだとスキルを振れるところに【英雄】ってスキルがある筈。


 俺のステータスカードにあるのは【ヒーロー】で試しに一回ポイントを振ってみたけどスキルポイントを十も使って覚えたのが【ヒーローの心得】ってわけの分からないスキルだとよ。


 このスキルの説明は【勇気を振り絞った時、道は開かれる。特殊アイテムの使用が可能】これだけだった。


 ちなみに英雄の場合、同じ十ポイントで【鼓舞】ってパッシブスキルを覚えて、常に攻撃力と防御力が倍になるらしい。すっごい差があるんですけど!!


 気を取り直してっと、これで残ったスキルポイントは百十八。残りは慎重に振り分けないとな。


「えっと、未確認情報。青と黄のスキルレベルが一定以上だと特殊スキルを覚えられる? ツリーに罹れてるコメントの内容は否定的なのばかりだし、両方レベル六まで上げたのに何もなかったって書かれてるな」


 青と黄のスキルを両方レベル六にあげるのに必要なポイントは合計二十八。


 二色持ちだとレベル十五で稼げる数値だな。


 とはいえ、剣術とか魔術とか覚えるし、他にもクラスにスキルポイントを振ってたら相当にレベルが上がらないとそこまで試せない。


「いろんな情報を見てみたけど、レベル八まで上げてみろって意見もある。必要なスキルポイントは合計で六十か……」


 試すにはでかすぎる数値だ。後百十八あるとはいえ、半分近いポイントが必要になるしな。俺以外で青黄の二色持ちでも流石に六十ポイントも無駄遣いできないだろ。


 三色以上あった時に振るかどうか悩むポイントだけど、三色の場合白か黒を優先して振るだろうからそんなにポイントが余る訳がない。巧妙な罠だな。


 悩む……。ん~、俺の場合もし駄目でも次のレベルアップ時に百二十八ポイント入るから何とかなるか。


「という訳で、深夜テンションで青と黄のレベルを八まで上げてみたぜ」


【条件を満たしましたので【緑】スキルを獲得しました】


 おっ!! 隠しカラー来た!! って、ステータスカードの色はそのままか。


 灰色になに混ぜても灰色だよな……。


「流れで覚えたけど、青と黄のレベル八までのスキルも強力だな。残り五十八ポイントをどこに振るかだけど」


 魔術と剣術に必要なポイントはそれぞれ十。


 この辺りはクラススキルと同じなのか……。


「白でヒール系か、黒でパッシブ強化の二択かな?」


 単独で行動するんだったらどっちも必要だ。


 白と黒をそれぞれ七まで上げると必要なスキルポイントは四十四。そうすると残りポイントは十四。


「剣術のレベルを上げて、残った四ポイントは次回に繰り越させるか」


 考えてみれば二色の一レベル分を振らずに繰り越しって贅沢だよな。


 取得した【スキル】はヒーローレベル一、剣術レベル二、魔術レベル一、白レベル七、黒レベル七、青レベル八、黄レベル八、緑レベル一。


 魔術や剣術もそうだったけど、習得したスキルに関してはレベル一で覚えるのか。ありがたい事に緑にもレベルが一つ入ってる。


 俺はそこまで関係ないと思うけど、普通はスキルポイントなんて一ポイントでも貴重だからね。


「とりあえず今何時……。って、もう二時前か!! ヤバイ。ほとんど完徹で学校に行く羽目になりそうだ!!」


 早起きして朝風呂にも入らないといけないのにな。


 流石に湯舟は使わせて貰えないけど、寮の風呂場にあるシャワー室の開放は確か朝の六時。


 早起きしてランニングしたりする生徒もいるから、あの時間に開放されてるんだよな。


「そろそろ寝るか。目覚ましはキッチリセットしたぜ……」


 俺が愛用してるのはスマホの目覚ましじゃなくて、昔ながらの小型卓上デジタル時計。スマホだと無意識に切ってる事があるから危険だ。


 問題はほぼ完徹の俺がそのタイマーに反応して起きられるかどうかだよな。


 大丈夫。俺の今のステイタスは異常だし、反応速度も上がってる筈だ……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る