水面のように
私は泳ぐのが大の苦手だ。
だから学校でのプールの時間はあまり好きではなかった。水に浸かり、奥まで歩く練習は平気だが、顔をつける練習となると怖くてできない。呼吸ができない場所というのは自分にとっては恐怖の場でしかないのだ。
最初のウォーミングアップが終わるとすぐに、私は端の方に座って水面を眺める。水面に反射した自分の顔が、波によってグニャグニャになっていく様は見ていて面白かった。それに、手を入れて上下させると輪っか状の波が広がっていく。まるで自分がプールを操っているような気になり、私は夢中で手を動かした。
すると突然、背中を勢いよく押された。無防備な状態だったため為されるがままプールへと落ちていった。水中に水飛沫が舞う。呼吸の仕方が分からず、私は体を無闇に動かした。やがて先生に無事助けられた。
現実は水面のように思うようには操れないみたいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます