君と見る『一緒で違う打ち上げ花火』

 君と話しながら夜空に打ち上げられる花火を眺める。

 赤色・水色・緑色の花火に、それら全ての色が合わさった花火も見られる。形も多種多様で一般的な花開いたようなものもあれば、キャラクターの形をしたものや、メッセージが書かれた花火も見られる。

 周囲は静寂に包まれ、花火の轟音だけが鳴り響いている。

「綺麗だね……」

 大きな花火の音の中でも、君の声ははっきりと聞こえてきた。

「うん。本当に綺麗だ……」

 君の言葉に僕は頷く。見惚れている僕に対して君は微笑む。

 二人で花火を見るのが夢だった。でも、もう少し違う形で見たかった。

 遠く離れた僕たちは互いの家でスマホを繋ぎながら花火を見ていた。

 僕たち二人が見ている花火は同じだが違う。花火よりも遠く離れた君が見ている花火は、僕が見ている花火の裏側だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る