桜の木の下に埋まっているもの
家の近所の公園にある桜は毎年綺麗に咲く。特に今年は格別だった。
『桜の木の下には屍体が埋まっているから美しい』というとある小説に書かれたフレーズを思い出す。まさかとは思いつつも僕は桜の周辺の土を掘ってみることにした。
スコップで掘ること数十分。スコップの先に硬いものが当たる。僕は当たったところの周りの土を取り払い、それを取り出した。
掘り出せたのは小さな宝箱。中を開けると一枚の手紙が入っていた。裏を見てみると書き手だと思われる人物の名前が記載されている。僕は封を開け、手紙の内容を読んでみた。『愛するあなたへ』から始まる感謝の気持ちがこもった手紙。読んでいる間、僕は目尻から涙が溢れるのがわかった。手紙の終わりには便箋に記載された名前と同じ人物の名前が記載されていた。僕の愛した今は亡きカノジョの名前が記載されていた。
桜の木の下には愛しき人の思いが埋め込まれていたから美しかった。
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