あなたしかいない
初めて彼に会った日。彼は私に『一本の薔薇』をくれた。理由を聞くと、彼は惚れた女には『一本の薔薇』を渡しているらしい。
二回目に彼に会った時、彼はまたしても私に『一本の薔薇』をくれた。なぜ二本目をくれたのか理由を聞くと、「また惚れた」と言った。
それから、彼は会うたびに私に『一本の薔薇』をくれた。
十二回目の時、彼は「付き合ってください」の言葉と共に『一本の薔薇』を向けた。私は告白を受け入れ、『一本の薔薇』を受け取った。
百八回目の時、彼は屋上のナイトプールを貸し切りにし、「結婚してください」の言葉と共に『一本の薔薇』と『婚約指輪』を向けた。私は婚約を受け入れ、『一本の薔薇』と『婚約指輪』を受け取った。それから今まで受け取った『百七本の薔薇』をプールへと投げ捨てた。
プールに舞い落ちる薔薇を見た彼は大いに笑った。溺愛した私たちには『一本の薔薇』さえあればそれでいいのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます