第30話 魔王城の憂鬱②
玉座の間で寛ぐ城主の前で首を垂れ、傅く魔族がひとり。城主――魔王の脇にはフィオナ、ヴェルゼールが控え、事の成り行きを見守っていた。
「失態だね、ヴェスパ?いくら主力をカサンドラに預けていたとはいえ、砦一つ落とせずおめおめと逃げ帰って来るとは。」
「申し開きもございません、魔王様。いかような処分でも甘んじて受け入れます。」
眉一つ動かさずに応えるヴェスパを、暫くの間面白そうに眺めた魔王は、にこやかに裁定を下す。
「ふむ、そうだね。ではこうしよう。
ひとまず君の魔将の任は解かして貰う。軍は副官に預け、暫くは謹慎するように。
ああ、もちろん国境の守りはして貰うがね。」
「謹んで拝命致します。」
何一つ反論する事なく裁定を受け入れたヴェスパは、一礼の後に音もなく玉座の間から去っていく。その様子を変わらぬ表情で見届けた魔王は、ふと思い出したように呟く。
「そういえば、カサンドラは異世界のものたちに討たれたそうだね?
――魔将ともあろう者が不甲斐ないものだ。」
「お言葉ですが、あれはあまりに運が悪かったかと!
魔法を弾く勇者の盾を持ったものに、魔法主体のカサンドラが当たるなどと!
いくら何でも相性が悪すぎます!」
カサンドラを擁護し声をあげたフィオナに対して、魔王は冷たく射貫くような視線を向ける。その鋭さにフィオナは戦慄を禁じ得なかった。
「たかが相性が悪い、というだけで人間たちに敗北するのかね?我が軍の将軍は。
魔将の地位というのは、随分と軽くなったものだ。」
「で、だ。次はどうするのかね?魔王代行、君のプランを教えて貰えるかな?」
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