第34話 VS魔術学院首席①
「おお、早速春陽じゃないか!! それも相手は首席で入学して、現在もトップに君臨し続けているセリアさんとは!」
なるほど。
それはプライドが高くて当たり前だ。
まぁそれはいいとして、空気中の魔力を自由に使えない俺が勝てる相手なのだろうか。
とりあえずもう時間みたいだし、お馴染みの闘技場まで行きますか。
「セリア様の戦いがこんな早く見れるなんて」
「今日はどんな戦い方するんだろうな」
「一瞬で終わらなければいいのだけれど」
さすが首席。
注目の浴び方がおそらく他と段違いなのだろう。
待機室の面々からはセリアの話題で持ち切りだ。
「春陽さん、頑張ってくださいね! 」
「春陽! このセリア色の空気変えてこい!」
そうだ。
俺には2人の強い味方がいる。
それが分かっただけで十分だ。
「じゃあいってくる 」
2人に挨拶して闘技場へ向かった。
◇
闘技場で到着した。
見たところ、2日前と大きく景色は変わっていない。
まぁ変える必要もないのか。
元々頑丈にできてそうだし。
そして向かい30mほど先にはセリア・ウィンドウィスパーが立ちはだかっていた。
そういえば向こう側にも入口があるが、そこから入場してきたのだろうか。
……あ、たしかさっき待機室で、ギルド認定試験の時には開いてなかった扉が開いてた気がするな。
まぁそんなこと気にしても仕方ないか。
「こんなにも早くあなたと戦えるとはね、ハル 」
「さっそく名前を覚えてもらってて光栄だよ、セリアさん」
まず問題はどう戦うかだ。
首席相手に魔力を制限して勝てるものなのか。
一応策を講じてはいるのだが。
『えーっ第1戦目の組み合わせが決まったところで、さっそく模擬戦の方行っていきたいと思います。本日御来席頂いていますのが、魔術大学や騎士団、魔法省といったこの世界で最もといって良いほどの地位を確立されているような団体の関係者様方となっております。 例年、この試験から金の卵が発掘されることになっていますので、参加された学生達は目いっぱい自分をアピールしていって下さい。 ではお2人とも準備はよろしいですか? 』
アリアンサは挨拶が一頻り終わった後、こちらに確認をとってきたため俺は手を挙げて『OK』とサインをした。
セリアも同様に俺と同じポーズをとった。
『試合時間は10分。 では悔いのないように! 始めっ!! 』
「ではまず小手調べねっ! 」
そう言ったセリアは風のエーテルバフを身に纏い、近接攻撃を仕掛けてきた。
「……!? 速っ! 」
普段ならもう少し遅く見えたかもしれないが、何せ魔力に制限がかかっているため体感速度もいつもとは全く違う。
しかし事前に貯蓄している魔力を目に集めていたおかげで間一髪避けることができた。
ちなみに第2試験開始までに空気中の魔力をすかさず集めていたのはここだけの話。
集めていたといっても身体は人間だからか限界もあって、どうやら第1試験程度が精一杯なようだ。
つまり1500程度だと思っている。
「初手で避けられたのは初めてねっ! さすがの魔力量といったところかしら 」
「そりゃどうも 」
余裕ぶっては見せたが、こちとらギリギリだ。
とりあえず相手から漏れ出している魔力だけはすかさず取り込ませてもらう。
風に対して相性が良いのはなんだったかなぁ。
漫画の知識だと火とかだった気がするが、そもそも現実世界の知識が通用するものなのだろうか。
そうと過程して、使う魔法だが、もちろん今の魔力量じゃおそらく聖級や神級なんてもの使ったらおそらく魔力がすっからかんになるだろう。
なら使う魔法は決まった。
「さて、ハルはどんな魔法を使うのかしら……!?それは火のエーテルバフ……。風との相性を見越してならあなた、性格悪いって言われない? 」
先程まで余裕の笑みを見せていた彼女だったが、俺の身に纏ったエーテルバフを見て表情が曇り始めた。
それを見るところ、やはり風にとって火は苦手なのだろう。
相性が分かった事だし、とりあえず先手必勝だ。
「こないならこっちからいくぞ! 」
「ええっ! きなさい! 」
シュッシュッ───
拳同士が交じり合うが、実際に拳が激突するのではなく纏っているエーテルバフが擦れたような音が響いている。
そしてお互い間一髪で相手の攻撃を躱し続けている。
だがさすがに元普通の高校生にしては少々ハードだ。
1回も攻撃を当ても当てられもしてないが、一度距離をとることにしよう。
それを察して向こうも一度退いてくれたことでお互い初期位置へと戻ることになった。
ふぅ……結構疲れた。
『残り5分です!』
まじか、あと半分もあるのかよ。
残り魔力もこの感じ多く見積っても900くらいか。
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