第32話 第1試験
今このシルヴァンディアにきて1番の難関に立ち向かっています。
空気中の魔力を制限された状態で試験を勝ち抜かないといけない。
幸い俺の順番は591番らしく、自分の番まで少し時間がある。
今のうちに考えるのだ。
空気中の魔力を使わずに魔力を得る方法を。
ちなみにミアは15番、カイルは264番、エレナは801番とバラバラである。
今ちょうど300番まで終わり、魔力量の基準みたいなものが分かってきた。
数値は1単位で細かく数値化され、ミアは魔力数値1064、カイルは魔力数値1150だったらしい。
これが高い数値なのかどうか一目瞭然だが、その数値を越すものはほとんどいない。
そもそも1000を越すというのが今のところ難しいようだ。
今の暫定50位が魔力数値890だから少なくとも900以上は出さないとダメってことだな。
魔力測定装置は10個あるため、10人同時に魔力数値を測ることができる。
それ故に順番が回ってくるのが早いのである。
色々考えている間にもう400番まできた。
とりあえず何も方法が浮かばないため、今のうちに空気中の微量な魔力だけでも集め切ろうか。
◇
あれから10分も経たないうちに順番が回ってきた。
50位以内の暫定席から、カイルは笑顔で手を振ってきて、ミアはファイトポーズをしてきている。
2人の期待には応えたいなぁ……。
「魔力測定開始!! 」
この合図によって魔力測定が行われる。
俺の前の590人もこの合図で行っていたため目慣れたものだ。
そして少し分かったことがある。
人が魔力を込める時、僅かに魔力が空気中に漏れるのだ。
俺はそれに気づいてからケチケチとその魔力を少しずつ取り込んでいた。
よし、もちろん俺と同じ順番で測定している9人の魔力も吸収させて頂いてから……魔力測定装置にぶち込むッッ!!
えっと……数値が1540……!?
今の1位が1211だからゆうに越してしまっている。
適度にやり過ぎた感は否めない。
暫定席に移動しようとしているが、1位の椅子は1番奥にあり、辿り着くには、50位から2位の生徒の前を通っていかなければならない。
なんかめちゃくちゃ睨まれてるんですけど。
やはりここの生徒じゃないからか。
ゴツイ人がいたり細い人がいたりと十人十色のようだ。
ようやく1位まで辿り着いたが、カイルは3位、ミアは4位らしい。
2位の女性は少し不機嫌なようだ。
金髪ロングで表情ひとつ動かない。
見た目通りプライドも高そうだ。
貴族というものなのだろうか。
やっとの思いで席に座ってすぐ後ろから、
「あなた、この私を抜くとはやるじゃない。 名は? 」
声のかけ方もプライドの高さを表しているな。
「えっと、春陽です 」
「ハル? 変わった名前ね。 私はセリア・ウィンドウィスパー。 よろしく 」
ウィスパー?
よく耳にするが、魔族にそういった性を持っているものが多かったな。
現にエレナもシャドウウィスパーだし。
「ああ、よろしく 」
そして全員分の魔力測定が終わったところで第1試験は終了となった。
ちなみにエレナはダメだったようだ。
全力出すことを俺が止めたこともあって、悩んだ末に出力できた魔力量が700程度だったらしい。
素直というかなんというか。
「第1試験突破した50名はここに残り、これ以外のものは退出してください 」
さすが上位50名といったところか。
強そうなメンツが揃っている。
しかしミアとカイルが居てくれてよかった。
「しっかし、エレナお嬢が試験落ちるとはな! 」
「うん……。 あのエレナちゃんが…… 」
2人とも少しガッカリしているようだな。
それに、この前のギルド認定試験でエレナの実力が明らかになったため、この試験に落ちたことに驚いているのだろう。
「では第2試験の内容を発表します。 第2試験は、模擬戦を行ってもらいます 」
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