第3話 異世界バカンス
部屋の外では銃声と怒声が続く。
ギャングどもはやけに暴れているようだった。
それに混ざって甲高い笑い声が聞こえる。
まるで映画なんかに出てくる邪悪な妖精のトーンだ。
「グレムリンでも出たか?」
笑い声は窓の割れる音と共に増えると、ぱたぱたと廊下を走っていく。
扉の前を通過して、ギャング達に殺到しているようだった。
「おい、なんだこいつらは!?」
「とにかく撃て! 残らず撃ち殺すぞッ!」
ギャング達が言い合いながら銃撃をしている。
それに笑い声が呼応した。
悲鳴と怒声が織り交ざってカオスな状態となっている。
(何かがギャングを襲っている?)
俺は音からそう判断した。
無論、ここで扉を開けるような真似はしない。
巻き添えになるのは避けたいところだ。
幸いにも室内の俺達は標的になっていない。
事態が落ち着くまで様子見がベターと言えよう。
やがていずれの音も遠ざかっていった。
どうやら上下の階にバラけたらしい。
遠くから銃声が聞こえるものの、付近のフロアからは去ったようだ。
耳を澄ませていた俺は室内を見渡す。
狭い部屋の中で、ガスマスクの同僚達が佇んでいる。
どいつも顔は見えないが不安そうだった。
一応は隊長を任される俺は、近くにあったボロ椅子に座る。
そこで煙草を片手にガッツポーズを取った。
「やったな、特別休暇だ。存分に楽しもうぜ」
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