九.明かされる真実(1/3)
あまりにもぶっ飛んだ内容に、俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「はあっ!? いくら何でも訳が分からねえよ! というか、まずは子供の無事を確かめさせろ!」
「あーもう、キャンキャンうっさいわね」
エレミヤはいかにも鬱陶しそうに肩をすくめると、
「でもまあ、さっさと見せちゃった方が手っ取り早いわね。良いわよ、お望み通りご覧に入れて差し上げるわ」
「エレミヤ、まさか……!」
エレミヤの手にした物体を見て、キルステンの顔が青ざめた。エレミアはそんなキルステンを鼻で笑うと、その物体を口に当てて息を吹き込む。
人間には聴き取れない音が出ているのか、しばらくの沈黙の後に、すぐ横の海面が大きく盛り上がった。
「!!」
唖然とする俺の目の前に、人間の男の子を触手で抱いたバージェスが現れた。
男の子の口と鼻には何かの器械が装着されており、その胸や肩は緩く上下している。意識を失ってはいるが、命に別状は無さそうだ。
(何故だ……何故、バージェスはあの子を飲み込もうとしないんだ)
子供のとりあえずの無事を確認すると、事件発生当初からわだかまっていた疑念が再び膨れ上がってきた。
バージェスに知性は無く制御は不可能であり、殺すことでしか対処出来ない。少なくとも、ミアプラ人からはそのように教えられてきた。
俺は、そっとキルステンの表情を盗み見た。
「……ッ」
思いがけず、キルステンと目が合った。
その瞳を見た途端、初めて会ったあの日からずっと不思議に思っていた事が、すんなりと理解できてしまった。
「それじゃあ、せっかくだから哀れな坊やに教えてあげるわ。残酷な真実ってやつをね!」
エレミヤは勝ち誇ったような顔で言い放つと、キルステンとの因縁について
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます