社畜 連携

連携の練習をしながら魔物と戦う

炎が一向に当たらない、一鬼にも当たらないがこれでは蓮二の力が発揮出来ない


「仕方ない、2人で前衛やるぞ」


(前衛でも私が居るから本来の力は発揮出来ないか。炎、攻撃系の異能の中でも攻撃力は高いが扱いがキツい。性格も相まってパーティでは本領発揮出来ないのか……)

一鬼は考える、1人や天音のような後衛と組む2人では行けるダンジョンは限られてくる

蓮二が強いとは言えど3級のダンジョンの主は倒せないだろう

その程度で腐らせていい才能では無い

(覚悟を決めた時の連携がどうなるかだな)


「分かった」


次は蓮二も前衛をする

周囲に漂わせている炎は防御にも使えるので蓮二が魔物の攻撃を受ける

蓮二の後ろから現れた一鬼が切り裂く

二階層の三体同時に出現する魔物の対応は蓮二が2体、一鬼が1体を担当する

一鬼は攻撃を弾いて両断する

蓮二の戦いを見る、その為に敢えて2体押し付けた

配信で強さは見たが実際に見て判断する

天音がリスナーに嘘をついたり騙したりするような人間では無い事は知っている

ただ蓮二の人間性については知らない

魔物の攻撃を炎で防ぐ

(別の戦い方)

蓮二は異能の技を身につけようとしていた

炎を放つ、溜めて放つ、防御する、炎の玉で手数を増やす、言ってしまえばシンプルな戦い方しかしていない

そしてあの魔物の防御と再生能力を突破出来ずに苦戦した

(これならどうだ)

炎を手のような形に作り替えて攻撃を受け止める


「逃さない」


炎の腕をもう1つ作り無防備な魔物を全力で殴る

殴られた魔物は触れた部分から焼けて燃える

2本の腕の動きを蓮二本体と連携させる事で素早く動かせる

腕と動きを連携させる為、使える数は二つに絞られるがこれなら異能で近接戦も出来る上しっかりと操作すれば味方にも当たらない

(ただこれを使う時は味方の位置に気を付けないとな)


「配信だと見せていないスタイルだな。新技か?」

「いや、ただの思い付き、初めて使ったけど上手く行って良かった」


(思いつきを今ここで練習もせずに本番で実行するかこの男、だいぶ狂ってるな)

ダンジョンは命懸け、練習もしていない戦い方を即実戦に移す人間なんて早々居ない

そんな事してもし失敗すれば死にかねない

そんな物相当の戦闘狂か頭のネジでも外れていないと考えても実行なんてしない

並の精神で行う行動では無い

一鬼は笑みを浮かべる、間違いなく蓮二は探索者に向いている精神をしている

(性格が惜しいな)


「良いね」

「ありがとう?」

「近接戦特化の技ですか! 良いですね」

「これなら味方にも当たらないと思うし攻防両立出来るから」

「これを使いながら別で炎は行けるのかい?」

「うん、出せる」


試しに炎を操る

炎の腕の動きは鈍るがしっかりと炎を放てる


「こう言うのは相場として中距離攻撃が出来なくなるんだがな」

「流石に炎を放ちながら攻撃みたいな事は出来ないかな」

「それでも十分な性能だ。それを維持して戦おうか。出来るか?」

「大丈夫、維持は問題なく出来る」

「異能の維持が一番難しいんだがな。実は異能の練習してたとかか?」

「いやダンジョン外だと使ってないな。危ないし」

「……まじか」

「まぁ確かに攻撃系の異能なんて暴発したら被害出ますからね。炎ともなれば建物燃やしかねませんし」

「だから外では使ってない。というか外で使っていいの?」

「危険性さえ無ければ大丈夫とは聞きますが後訓練所って言う探索者専用の訓練場でそれぞれの異能の訓練に使える物があるとか」

「へぇ、それは便利」

「結構近くに1つありますよ」


戦闘時以外は雑談を交わしながら進んでいく

順調に進む

(前衛の方が戦いやすいか。普通なら後衛出来る異能者は魔物と対峙するの嫌がるがな)

前衛は危険、蓮二もそれを知っている

だが他の人が危険を犯すくらいなら自分が前に立ちたいと言う考え

2人で前衛してる時も魔物のヘイトは蓮二が集めて戦う

その分蓮二の行動パターンが単純になる、最もその分を補えるだけの動きが出来る一鬼と組んでいるから現状で支障は無い

魔物の腕を掴み燃やして一鬼が無防備なところを斬る

1人で戦う場合は攻撃を躱さない

炎の腕でごり押して倒す


「ヘイト集め助かるよ」

「僕の炎なら防ぐだけじゃないから多分適任」

「あぁ焼けてたもんなぁ。もしかしてその異能近距離主体か……?」

「それは無いと思う」


話を聞いていた天音は答える


「無いのか? あれ身体能力に補正入ってたりしない?」


一鬼は戦闘中の蓮二の身体能力に疑問を浮かべている


「蓮二さんの反応速度は確かにおかしい」


(そんなに?)

2人は蓮二の身体能力がおかしい事に気付いた


「だよな? おかしいよな」

「普通素早い魔物の攻撃を見てから動かして防ぐなんて無理だもん」


蓮二は反射神経や体力、動きなどどれを取ってもおかしいのだ

素人が戦闘慣れしているかのように立ち回り素早く攻防切り替える


「私は何とか反応はできるがあくまで経験による予測で何とかしてるだけだしな。私は昔剣術を習っていたしな」

「異能に身体能力に関する補正はなかったと思うなぁ」


蓮二の異能に身体能力強化の効果は一切無い、全て自前


「自前かよ……剣術でもやってた?」

「やってない。剣を使ったのは配信を含めても2回」

「武術やスポーツは?」

「無い」

「それでその身体能力……筋トレはしてる?」

「まぁ鈍らない程度には」

「……やっぱおかしいな」

「頼もしいという事で」

「そうだな、仲間だと頼もしい……それで着いたな」


中ボスのエリアへの階段


「ここに居るんですかね」

「どうだろうな」

「戦う覚悟は出来てる」

「私も出来てます!」

「ならばよし行くぞ」

「了解」

「分かった」


3人は階段を降りて向かう

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