第2話
ファズは、薄暗い部屋の中で目を覚ました。頭痛がする。どこだ、ここは? 記憶をたどる。イルオが男に連れ去られ、自分が追いかけたこと。そして…激しい痛み。
ゆっくりと体を起こすと、視界にイルオの姿が入った。ベッドに横たわったイルオは、顔色が悪く、熱があるようだ。ファズは、自分のせいでイルオがこんな目にあったことを悔やんだ。
「イルオ…」
かすれた声で呼ぶと、イルオがゆっくりと目を開けた。「ファズ…?」
「ごめん、こんなことになっちゃって…」
ファズは、イルオの頭を優しく撫でた。イルオは、少し笑って、「大丈夫だよ。ファズが助けてくれたから」と言った。
ファズは、イルオのベッドの横に座り込み、手を握った。二人の間には、静かな時間が流れた。
しばらくして、イルオの熱が下がったのを確認し、ファズは脱出計画を立て始めた。この家から出るには、鍵を開けなければいけない。でも、鍵はどこにあるのだろう?
部屋の中をくまなく探すと、机の上に鍵束を見つけた。一つ一つ鍵を試していくと、ついに部屋の鍵が開いた。
「イルオ、行こう」
ファズは、イルオに声をかけ、ベッドから起こした。イルオは、まだ体がだるそうだったが、ファズの言葉に励まされ、ゆっくりと立ち上がった。
二人は、家から飛び出し、暗い路地裏を走り始めた。男に見つからないように、息をひそめて進む。
しばらく走ると、後ろから足音が聞こえた。男が追ってきたのだ。
「早く、イルオ!」
ファズは、イルオの手を握りしめ、さらにスピードを上げた。
二人は、必死に走り続け、ようやく街の広場に出た。広場には、月明かりが降り注ぎ、静寂に包まれていた。
「助かった…」
イルオは、広場の中央で立ち止まり、息を整えた。ファズも、イルオの隣に立ち、安堵の息をついた。
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