第51話 フウゴルとの戦い
「リン! 俺にスタチヂルとパプロナミン!!」
「アスは、一度後方に下がれ!!」
フウゴルとの戦闘が確定した今。俺はリンとアスに、険しい表情で素早く指示を出す。
その言葉を聞いていたフウゴルは、顔をにやつかせながら俺に言い始める。
「面白いね~~伊達や酔狂に、此処まで来られる事だけ有るわ~~」
「なら、俺も本気を出しますか!!」
「スタチヂル!」
リンが真剣な表情で、一時的に防御力を高める魔法『スタチヂル』を俺に掛け始めていると、フウゴルは急に後方へ下がり、ある場所に置いて有る壺を手に取り、壺に入っている水を飲み始める。
奴も、俺たち三人と同じ様に秘薬でも有るのだろうか?
「パプロナミン!」←一時的に攻撃力を高める魔法
『ブル、ブル、―――』
「~~~//////(泣)」
リンは手際よく、俺に魔法を掛けてくれているが、アスはフウゴルの言葉と態度で完全怯えてしまい、尻餅状態から後方へ下がろうとはしない。
アスの中では、大ショックで有るのは分かるが……
こんな状態ではアスの魔法攻撃も期待出来ないし、フウゴルの目的は俺たちを殺すより、アスを奪い取るのが目的で有るから、アスをフウゴルに奪い取られたらゲーム展開よろしくで、フウゴルとアスが何処かにワープするのは目に見えている。
もしそうなったら、BADENDが確定と成る!///
『にょろ、にょろ、―――(汗)』×2
『にょろ、にょろ、―――(汗)』×2
『パクッ!///』
『にょろ、にょろ、―――(汗)』×2
『にょろ、にょろ、―――(汗)』×2
すると、コハルが蛇らしくない早さでアスの側に来て、困った笑顔で怯えているアスを甘噛みして、コハルはアスを甘噛みしながら後方へ一気に下がる!!
コハルは手助けをしないと宣言していたが、アスがフウゴルに奪われたら大損失に成ると判断して方針を変えたのだろう。
大蛇だけ有って、少女のアスでも軽々
『ガッチャーン♪』
タイミング良く、壺の水を飲み終えたフウゴルは壺を壁に叩きつけながら、不敵な笑みを含ませながら、俺に話し始める。
「さて……俺の方も準備が出来たし、先ずはお前から死んで貰うか!」
「あの蛇も
「……」
(こいつは、コハルが火を吹く事を知らないんだな…)
(フウゴルはプレートアーマーを装着しているが、鎧は火に耐えても人間は熱には弱い……)
俺たち三人はコハルが居るから、フウゴルに勝つ事は有っても負ける事は無い。
コハルが途中で、俺たち三人を放棄しない限り!?
俺はフウゴルと戦う為に、鞘から剣を取り出し、鋼の剣で魔法剣を作る。
「モージスク・スバッド ブランド」
俺は真面目な表情で魔法を唱えて、炎を纏った魔法剣を作り始める。
だが、フウゴルは俺の魔法剣が完成する前に、剣を振りかざしながら突如襲い掛かる!!
「死ね!」
「正義気取りのおっさん!!」
フウゴルは憎しみ表情で、俺に切り掛かる!
おい、おい、異世界らしく。こっちの魔法剣が完成するまで待てよ!!
『ガツン!』
「ぐうぅぅ~~~」
俺はとっさに、盾でフウゴルの剣を受け止めるが……とてもじゃないが、片手で防げる力では無い!
俺は
(凄まじい力だ……フウゴルはプレートアーマーを装着しているから、両手で剣を持っている)
(こっちは鎧も兜も無いから、盾で攻撃を受け止めないと直ぐに殺される)
「おっさんの癖に、中々やるな!」
フウゴルは不気味な表情で俺に言う。
差しの戦いでは、フウゴル圧倒的に有利だ。
(くそ、間合いが取れないから、魔法剣が完成しても、勢いよく切り付ける事が出来ない///)
俺は接近戦覚悟で、フウゴルの左腕目掛けて剣を振り下ろす!
『ガツン!』
だが、プレートアーマーの所為で、奴の腕を切り落とすどころか、剣が弾き返されてしまう!
片手ではプレートアーマーごと、魔法剣でも腕を切り落とす事は不可能か!(汗)
炎は一時的にフウゴルを包んだが、プレートアーマーの前ではほぼ無力で有った。
フウゴルは『勝った!』の表情で、両手で持った剣を再度、俺に振り下ろしてくる!!
『ガツン……バキィーー』
「ぐああぁぁあーーー」
「!!///」
フウゴル二度目の攻撃で皮の盾は砕け散り、同時に刃先が俺の左腕を切り裂く!
その刃先は一気に肘まで到達する!!
リンも俺の切られる場面を見て、顔が引きつっていた。
フウゴルは切り終えると、プレートアーマーを装着している割りに素早く身を引かす。
フウゴルの身体能力は半端では無い!///
俺は『スタチヂル』をリンから掛けて貰っているのに、こいつは本当に人間か!?←身体能力が低ければ、一時強化魔法を掛けてもそれだけで有る
「ドホラミン///」
『キラーン☆』
俺が痛みを感じ始める前に、リンが半泣き状態で素早く回復魔法を俺に掛ける!
『ドホラミン』を掛けたから、俺のさっきの怪我は大怪我以上なんだろう!!
「……」
(リンのお陰で直ぐに左腕は治ったが……さっきの攻撃で盾は壊れた!)
(プレートアーマーの所為で、片手ではフウゴルの腕は切り落とせないから、俺も両手で持つか)
俺は剣を、片手持ちから両手持ちに変える。
今後は剣で、フウゴルの攻撃を耐えないと行けないが、俺が両手持ちしても力では絶対負けるだろう。
『ダッ、―――』
俺は助走を付けて、フウゴルの頭部を目掛けて切り掛かりに向うが……
「あの白魔法使い女、欲しいな……奴の左腕を斬ったのに、もう治ってやがる!」
「出来れば、同時に犯したいね!」
「白と黒の狂乱……俺の物で狂う聖女の末路!!」
フウゴルのそんな呟き後。
「……甘いよ。おっさん……」
フウゴルは俺の動きを完全に読んでいて、俺が飛びかかった瞬間……フウゴルは馬鹿にした口調で言いながらカウンター攻撃を仕掛ける。
『バシュ!』
「!!」
『ブッシャ~~!』←スズヤの血飛沫音
任侠映画のワンシーンの様に、俺は肩からバッサリとフウゴルに切られた。
……俺の体全体から血飛沫が上がる……
(やはり、魔物と違い人間はずる賢い……)
(これは……リンの『ドホラミン』でも、ダメかも知れない……)
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