第45話 リンの護衛武器と三人での訓練
「えっと……スズヤさん!」
「リンさんに飛び道具を持たせるのは、私も反対ですが、護衛武器だけは持たせるべきでは無いでしょうか?」
アスが澄ました表情で俺に話す。
俺は尋ねる表情で、リンに話し始める。
「リン……リンは確か、ピストルは撃てるんだよな?」
「えっ。ピストル?」
「はい。もちろん撃てますよ!」
リンは穏やかな表情で、俺からの質問に答える。
俺は心の中で考え始める……
(ピストルが撃てるんだから、リンにピストルを持たせれば、リンは杖以外の攻撃が出来るように成る)
(誤射の心配は残るが……でも、アスは飛び道具を持たせるのは反対していたよな///)
ピストルも飛距離が短いとは言え、飛び道具には変わらない。
リンには女子らしく、果物ナイフでも持って貰うか///
「スズヤ! 私にピストルを持たせてください!!」
「私はスライムの頭を打ち抜いた事が有りますし、防御武器でしか使いませんから!!」
リンは嘆願する表情で俺に言う。
俺は構わないが、アスが飛び道具は反対と言っていたので、アスに話しを振る。
「アスは、リンが飛び道具を持つのを反対していたが、ピストルでもやはり反対か…?」
アスは悩んだ表情で、俺とリンに向けて言い始める。
「うーん」
「防御で使うのですから、リンさんが魔物に接近された時に使うのでしょう……」
「腕がきちんと有るのでしたら、誤射の心配もかなり減るでしょう」
「持たせないよりかはマシでしょうね……」
「じゃあ、リンがピストルを持っても良いんだな?」
「アス?」
俺は理解を求める表情でアスに話す。
アスは『仕方有りませんね』の表情で俺に話し始める。
「はい……飛び道具ですが、持たせましょう」
「リンさんがピストルで魔物を撃てば、退治は出来なくても魔物は動揺を見せるでしょう……」
「その隙を突いて、私やスズヤさんが攻撃をすれば問題は無いです」
「やった!」
「私に新しい武器が増えた!!」
リンは嬉しそうな表情で一人しゃべりをする。
俺はリンのピストル腕前をまだ見た事が無いが、口調からしてかなりの腕前なんだろう?
……
その後は普通のお茶会と成って、三人での談笑を楽しむ。
今晩は
「王国城の人達は良いですね!」
「こんな美味しい物を気軽に食べられて~~♪」
リンは笑顔で一人しゃべりをしながら、焼き菓子を食べている。
だが、俺の中では少しパサつきを感じる焼き菓子で有る。
「私も……本来は王国城勤務の筈でしたから、これなら王国城勤務の方が良かったかも知れません♪」
アスも笑顔で一人しゃべりをしながら、焼き菓子を食べている。
何処の世界でも、女子は甘い物好きの様だ……
☆
翌日から翌週の冒険日までの間は、各自が鍛錬に励むが、共同で鍛錬をした時が良い時も有る。
アスは前回の冒険で気力切れを起こしたので、気力を高める鍛錬も同時にしていた?
この日は、三人共同での鍛錬と言うより訓練を行う。
「ぐおぉぉーーー」
俺は棒読みでゴブリンの真似をして、棍棒代わりの角材をリンの頭上目掛けて、軽く振り下ろしている。
『カツン!』
リンは真面目の表情で、ウリンの杖を活用して防御体勢を取っている。
俺が角材を振り上げたタイミングで、リンは『スイスイ』を唱える真似をする。
『スイ……スイ』
唱える真似なので魔法は発動しないが、相手の攻撃タイミングを見計らっての、リンの防御訓練をしている。
アスは、俺とリンを見ながら指導官の様に指図を出す。
「スズヤさん!」
「今度はもっと早く、角材を振り下ろしましょう!!」
「分かった。アス!」
俺は、指導官の命令を聞く様に返事をする。
「ぐおぉぉーーー」
『ブン!』
『ガツン!!』
「スイ……スイ」
リンは俺の動きに合わせて、自分に『スイスイ』を掛ける練習を続ける。
後はこれを応用して、リンが防御をしつつ、自分に回復魔法や相手に魔法支援を確実に掛ける事が出来れば、アスは簡単には死なないだろう!
……
リンの防御訓練の後は、実戦を想定した訓練もする。
突然。ゴブリン三体が現われたのを想定して、俺たち三人は戦闘訓練を始める。
「俺は、左ゴブリン(A)を斬る!」
「アスは、右ゴブリン(C)にブランド」
「リンは、防御!」
俺は素早く指示を出して、俺はゴブリン(A)に目掛けて、新品鋼の剣でゴブリンを切り裂く真似をする。←以前のは交換して貰った
アスも『ブランド』を唱える真似をして、リンはウリンの杖で防御を取る。
魔法剣は王者の剣が鍛造可能になるまでの間は、俺の必殺技扱いとなるので、極力通常剣のみで戦う。
ゴブリン以上の場合は、一時的に攻撃力を高める魔法『パプロナミン』や、皮膚や骨を一時的に硬くして防御力を高める『スタチヂル』等の、魔法支援をリンから受けて俺は魔物と戦う。
また、前回のリュウガンロ鉱床では、コハル自身が光って鉱床探索をしたが、次回からは、リンがコハルから特別に教えて貰った『ワットブライト』と言う魔法を使うらしい。
この魔法は前世界で言えば、電球の様な光球を魔法で作り出し、更には凄く明るいらしい。←これはリンからの話
また、意志で光球をある範囲まで、操作出来るらしいから索敵力も上がる。
これは本来。白魔法使いの習得魔法から外されていたのだが、コハルがリンに教えた。
俺は理由は敢えて聞かなかったが、コハル自身が光るのも案外疲れるのだろう?
コハルは王国城の守り神である故、謎解き大蛇でも有った……
俺たち三人は次回のリュウガンロ鉱床まで、鍛錬や共同訓練に励んだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます