第29話 俺たち三人の進む道

「あれ?」

「私、おかしい事を言いましたか。スズヤさん、アスちゃん!///」


 俺とアスの反応が悪いから、リンは戸惑った表情で話す。

 リンの言っている事は間違っていないが、この三人で魔王を退治するのは夢物語すぎる。


「…………」

「……!!」


 俺と同じ様に、アスは苦笑いの表情でリンの話を聞いていたが、いつの間にか真面目な表情に変わっており、何かを考えている。

 その後。アスは意を決した表情に変わり、リンに話し始める。


「リン先生!」

「私は、リン先生の考えに賛成です!!」


「私は、子どもたちを守る事のも大事ですが、一番大事なのは私の両親を殺した魔王に復讐をする事です!」

「魔王さえ倒せば、新たな戦争孤児はこれ以上増えませんし、世界に平和が訪れます!!」


「うっ……うん……」


 アスは力強い表情でリンに話す。

 だが、リンはアスに圧倒されて、たじろいだ表情でアスに返事をしている。


 言い出しっぺはリンなのに……


(そう言えば……俺も、王国城で魔法の適性診断を受けるとか言っていたが、すっかり忘れていたな…)

(俺は戦士には絶対為れないが、魔法の素質が有れば……リンやアスの様に魔法使いで生きていく事が出来る!)


(『魔法使いが作る。魔法の料理』とかのネーミングで子ども食堂を開けば、メルメーサ王国中に一気に広まるだろう!?)


 アスが黒魔法使いなのをリンが驚いていたが、アスは意外に強気な一面も見られる。

 一応、生き物で有る魔物も躊躇いなく殺すし、リンに仕事を教えたり、引き継がない意地(?)も有る。←アスはあくまで戦争孤児


 白・黒魔法使いの素質は、性格や性質も影響しているんだろう……

 だが、アスは困った表情に変わり、リンに言葉を続ける。


「……でも、リン先生。私は教会に養われている身分ですし、神父やシスターも、私が魔王退治に行く事は許さないでしょう///」

「私現在の両親は、魔物に殺された両親では無く、神父やシスターですから……」


「……」


(俺やリンも教会に所属しているから、みずから魔王退治に行くと発言しても、神父たちは許してくれないのかな?)

(でも、さっき。神父は教会と子どもたちを守る為に、俺にゴブリンの迎撃を言って来たよな??)


 俺がそんな事を考えていると、リンは何故か、嬉しそうな表情でアスに言い始める。


「アスちゃん! さっき。神父が言っていました、一人一つずつ。願いを叶えると言っていましたよね!」

「それを使いませんか?♪」


「私とアスちゃんは魔法訓練の志願をして、スズヤさんには剣術を習うで!!♪」

「あっ、後追加で、スズヤさんは魔法の適性診断も受けて貰いましょう♪」


「……あっ、その手が有りましたね! リン先生!!」

「神父がを叶えるかは別にして、その口実で申し出るのは悪くないですね!!」


 アスは期待を持った表情でリンに話す。

 俺も巻き添えで、剣術を習う事に成りそうだが、この世界で生きて行くには最低限の剣術も必要で有るから、俺は納得する部分も有った。


 ☆


 紅茶を飲み終えた後。俺たち三人は神父の元に向って、先ほどの事を神父に話す。

 神父と一緒にシスターも居たので、シスターも俺たち三人の話を聞く。


「成る程……スズヤは剣術の鍛錬と適正診断の申請。リンとアスは王国城での魔法訓練志願ですか!」

「願いを叶えると言ってしまった以上……叶えるしか有りませんね…!」


「だけど……アスは教会の子だ」

「訓練は受講出来るだろうが……訓練終了後の対応がな…」


 神父は渋々の表情で、俺たち三人に言う。

 だが、アスに関しては悩みと言うか、抵抗を感じている様だ。


 リンは現在『スイスイ』、ドヌケポン』しか扱えないが、白魔法使い登録をして、魔法訓練を受講すれば『スイスイ』の上位魔法で有る『ドホラミン』や、魔法で攻撃力を高める『パプロナミン』が扱える様に成る。

 アスは既に登録をしているが、リン同様に、高度な攻撃魔法が扱える様に成るが、アスの現身分ではこれ以上の、攻撃魔法を扱える様にするのは望ましくない。


 その時。シスターが困った微笑み表情で、神父に話し始める。


「神父!」

「少し早いですが……アスの魔法訓練が修了すると同時に、アスは自立をして貰いましょうか?」


「!」


 シスターの言葉でアスは驚く!

 教会で言う『自立』は、養護施設からのの意味で有るからだ。


 アスが驚きの表情を見せる中。シスターはその表情で言葉を続ける。


「訓練終了後。アスはスズヤとリンと同じ身分と成ってもらい、リンには子どもたちの纏め役を引き続き任せましょう!」

「住む場所も、今の部屋を使っても良い事にしまして…!」


 シスターの言葉の後。

 神父は決意した表情で、シスターに話し始める。


「……そうするしか無いですな!」

「シスター」


「養護施設からの子どもから、教会に属する人間に変えれば、アスが高度な黒魔法を扱えても、王国民達から問題視はされないだろう」

「本来の黒魔法使いは、王国城内での勤務を命じられるのだが、私が上手に説得させてみよう!」


「これでも私は……元。王国軍の大将で有ったですからな!」


「!!」


「!!」


「!!」


 最後の文章は、誇った表情で話す神父。

 その言葉で、俺たち三人は同時に驚く!


 だから神父の割りに、鋼の剣を持っていたのか!?

 神父は俺たち三人に向けて、穏やかな表情で話し始める。


「分かりました!」

「三人の願いを叶えましょう!!」


「リンとアスは、近日中に魔法訓練が出来る様に、私から言っておきましょう!」

「但し、二人同時に訓練に行ってしまうと、こっちの仕事に影響が出ますから一人ずつで…」


「スズヤに関しては……私直々で、剣術の鍛錬しましょう!!」

「その方が効率良いですし、王国城まで行く手間が省けますからね!」


 ……


 こうして、俺たち三人はそれぞれの訓練を受ける事と成った。

 リンは白魔法使い訓練。アスは黒魔法使い訓練。


 そして、俺は王国軍元大将で有る神父から、直々に剣術を教わる事と成った。

『人は見かけによらない』と良く言われるが、神父の場合はまさにその通りで有った!///


 ……


 ☆攻勢をかけ始める魔王軍☆


 ☆おわり☆


 次章『俺は異世界で化ける?』に続く……

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