(二)-6

 ダイニングの椅子の背もたれにはスーツをかけたままであったし、寝室へ向かう床にはシャツや下着が脱ぎ捨てられて散らばっていた。

 風呂には入らなかったのかと思って浴室を覗くと、中には湯気まだ残っており壁や床は濡れていた。しかも湯船に乗せるプラスティック製の風呂蓋は、湯船に乗せられずに折りたたまれて壁に立てかけたままであった。

 寝室へゆくとダブルのベッドでは夫が大の字で寝ていた。私はクローゼットの折りたたみスライドドアを開けてスーツを脱いでハンガーにかけ、クローゼットの中のお気に入りのスーツの列の端に吊るした。

 その後は化粧を落とし、冷めた風呂を温め直してからに入り、ルームウェアに着替えてからリビングのソファの上で寝た。


(続く)

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