第45話 頼むから動かないでください

 俺の額に向かって拳銃を突きつけ、やつは言った。


「OK。お前の言いたいことは理解した。お前がこの場から動いて、走り出したい気持ちは伝わってきた」

「だったら……」

「だが、お前をここから逃がす訳にはいかないな」男はさらに威圧感を強めて、「考えてもみろ。お前がここから動き始めたら……多くの人間が悲しむことになる。それがわかっていて……お前を行かせるわけには行かないんだよ」


 それは俺だってわかっている。俺はこの場に留まるべき……そんな常識的な最善手なんて簡単にわかる。


 それでも……


「それでも、俺は行かないといけないんだよ。俺には……こうすることしかできないんだ」

「決意は硬い、か……」


 俺がうなずくと、男は待ってましたとばかりに笑い始めた。


「じゃあ力ずくで止めさせてもらおうか。お前がこの先に進みたいっていうのなら……俺を倒してからにするんだな、点P!」

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