第31話 すべてが台無しです
明日はついに……待ちに待った結婚式の日だった。
俺は緊張のあまり眠れなかった。少しでも気を紛らわすために、散歩にでかけた。
真っ暗な夜を道を歩いていると、
「どうしたの?」俺の幼馴染が話しかけてきた。「もしかして……あなたも眠れないの?」
俺がうなずくと、彼女は愛おしそうに笑って、
「そうだね……私も同じ。明日……子供の頃からずっと好きだった人と結婚できるんだもの。今から心臓がドキドキして……眠れる気がしないの」
それから俺たちは、少し夜の街を散歩した。会話はなかったが、彼女と一緒にいるだけで幸せを感じ取れた。
「幸せだなぁ……」彼女が言う。「死んだと思ってたあなたが生きていただけで良かったのに……私と結婚してくれるなんてね。ホント、生きててよかった」
彼女は僕の前に立って、深々と頭を下げた。
「明日は緊張しちゃうかもしれないから……今日言っておくね。大好きだよ、結婚詐欺野郎」
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