第4話
「あれは変換器といって、魔石の中の力を引き出すことが出来る道具です。筋肉や体力が向上するので、農作業などで使う人が多いんですよ」
それを聞いていた生徒たちも「家にもある」「僕も見たことあるよ」と声が上がった。
変換器とは人類が魔物と対抗するために作り上げた道具である。使用方はベルトに付けて腰に巻く、そしてガラスのような特殊な容器”変換器”に魔石を入れる。
そうすると魔石の力を人間用に変換して力や体力の向上が得られる。また傷の治りも早くなり、ちょっとしたケガなら瞬く間に治ってしまうし病気に強くもなる。
変換器の発明によって魔物に対抗出来るようになっただけじゃなく、仕事などでも活用されるようになった。
魔石研究は日々進んでいる。まだ見ぬ活用法が遠くない未来見つかるだろう。
しかし、魔石を手に入れるには魔物を倒す必要があり、魔物を倒すには魔石が必要である、という難しい問題がある。
さらに、魔石は綺麗なほうが力を引き出せるので、魔物を素早く疲弊する前に倒したほうが良いということがあり、焦って早く倒そうとして返り討ちに合う事が多いのだ。
「変換器は”蒸気都市パキーム”という所で作られて、協会がそこから買っています。古くなったやつを各地に寄付してるんで、ルナさんのお父さんはそれを使ってるんですね。色んな種類があって用途によって使い分ける感じですね。変換器に使う魔石はお店で買うことが出来るので簡単に手に入ります。農作業で使うぐらいなら、安い魔石で十分です」
「じゃあさ、そのヘンカンキ? ってやつをいっぱいつけて、魔石をいっぱい入れればすごく強くなるの?俺も魔物を簡単に倒せるの? 」
「それは残念ながら難しいですね。たしかに変換器をつけると強くなりますが、その分体に負荷がかかります。なので、大量につけると体が耐えられないでしょう」
「そっか。簡単にはいかないんだね」
アレクスは肩を落としガッカリした様子だ。しかし、そんな簡単に強くなれるのなら、もう魔物や魔人たちは全滅しているだろう。
「さて、今日の授業はここまでです。みなさんお家にまっすぐ帰るんですよ」
「ありがとうございました」
リリアン先生に挨拶をして生徒たちが我先にと帰って行った。子供たちにとっては机に縛られる勉強はとても退屈ものである。
しかし、アレクスは勉強が嫌いではなかった。自分の知らないこと、見たことの無い土地の話。それらを聞くのが大好きだった。
いつか自分自身の目で見てみたいと、心から思えるほどに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます