キャプテン
「キャプテン! もうすぐ着岸です」
「よし! 全員準備しろ!」
キャプテンの号令のもと、皆が準備に取り掛かって間も無くのことだった。
ガシャーン
突然轟音が鳴り響き、激しい衝撃でクルーズ船が傾く。
「うわー」
一同は傾いた船内でバランスを崩し、床に倒れてしまう。
「一体何事だ!」揺れが収まってからキャプテンは立ち上がり怒声をあげた。
「わかりません。でも、もしかして何かにぶつかったのかもしれません」
その時、船内に緊急放送が流れた。
「当クルーズ船は、先ほど貨物船と衝突しました。船艇を一部破損し、浸水が確認されましたが、水密扉によりこれ以上の浸水はありません。沈没の心配はございませんので、しばらく客室に待機して頂きますようお願いします。新しい情報が入り次第お知らせいたしますので、落ち着いてスタッフの指示に従って行動して下さい」
「キャプテン、ひとまず安心ですね」
「馬鹿かお前は、あんなの嘘にきまっているだろ」
「え? そうなんですか?」
「ちょっと考えたらわかるだろ。本当のことを言ったら二千人の乗客が救命ボートに殺到してパニックになるだろ」
「確かに。それでどうするんですか?」
「皆が待機している間に救命ボートに行く」
「キャプテン、それはまずくないですか?」
「黙ってオレに従え」
「わかりました。それと、……」
「バットやグローブは持っていけるんですか?」
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