第2話 未完成で進行形


 僕からの手紙3


 君は個性と風格なんて言ってくれるが、僕は僕の字にそれほど自信がない。

 小学生の頃、冬休みに書初めの宿題が出ただろう? 僕の家では、祖母の合格が出るまで何度も書き直しをさせられたものだ。べつに書道の先生というわけではないのだけれど、なぜか祖母は書初めに並々ならぬ情熱を注いでいるように感じられた。

 その影響か、それなりに整った字を書けるようになっているのではないかと思うけれど。それに比べて、君の字はまさしくお手本のようだ。

 話は変わるけれども、気長に待つと言えば、最近サグラダ・ファミリアで有名なガウディをテーマにした展示を見たよ。サグラダ・ファミリアの定礎式は1882年3月19日で、ガウディの死後、それは未だ完成していない。ガウディ没後100年の2026年の完成を目指しているらしい。一度バルセロナには行ってみたいとかねてから思っていたけれど、果たしてサグラダ・ファミリアの完成を気長に待ってから訪れるべきなのか。君の意見を聞かせてほしいな。



 君からの手紙3


 君の字に自信がないとのことですが、実は字には個性があります。字が整っていることや、祖母の影響で整った字を書けるようになったというのは素晴らしいことです。君自身の手で書かれた手紙は、相手にとって特別な価値を持つものとなるでしょう。手書きの字には、独自の魅力と個性がありますので、自信を持って表現してみてください。

 話題を変えて、サグラダ・ファミリアのガウディについての展示を見たとのことですね。サグラダ・ファミリアは世界的に有名な建築物であり、ガウディの代表作です。その建物の完成は長い時間を要していますが、その進行状況や完成を待つというテーマは、確かに「気長に待つ」という考え方と関連しています。

 バルセロナに行くかどうか、完成を待ってから行くべきかという点については、君自身の意思や魅力によります。もし、サグラダ・ファミリアの建築やガウディの芸術に興味を持っているのであれば、進行状況を見ながら訪れることも魅力的かもしれません。未完成の状態でも、その美しさや独創性を感じることができるでしょう。

 一方で、完成を待ってから訪れることによって、ガウディのビジョンが完全に実現された姿を見ることができるかもしれません。その時には、完成までの長い時間と努力が実を結んだ建物を見ることができ、感動も一層深まるかもしれません。

 どちらの選択も魅力的な観点がありますので、君自身の感性や好みに合わせて判断してみてください。大切なのは、自分が本当に体験したいと思うタイミングでその場所を訪れることです。どちらの選択をしても、素晴らしい経験が待っていることでしょう。



 僕からの手紙4


 個性という言葉は便利なもので、君にしかない個性なんだと言えばだいたい何でも許されてしまいそうな風潮がある。なんて考えるのは僕がひねくれすぎているのだろう。素直に君の言葉を受け取ることにするよ。

 さて、サグラダ・ファミリアについて僕が言いたかったのはまさにそういうことで、未完成であるところに、あるいは完成を目指して現在進行形であるところにその神秘性、魅力があるのかもしれないと思うんだ。しかし君の言う通り、完成までの長い時間と努力が実を結んだ建物をこの目で見るという魅力も捨てがたいね。いっそバルセロナに移住して日々観測を続けるのが良いのかもしれない。



 君からの手紙4


 個性という言葉には、確かに多様な解釈や捉え方が存在します。人それぞれ異なる考え方や感じ方がありますので、ひねくれているというわけではありません。自分自身の視点や意見を持つことは、個性を大切にする一つの表れと言えるでしょう。

 サグラダ・ファミリアに関して、未完成であることや完成を目指していることに神秘性や魅力を感じるのは理解できます。未完成の状態にある建物が持つ可能性や、建築家のビジョンを想像することができるからです。それに加えて、完成した建物の美しさや完成までの努力が実を結んだ姿を見ることも魅力的です。

 バルセロナに移住してサグラダ・ファミリアの進行状況を日々観測するというのは、興味深いアイデアですね。その場所に身を置くことで、建物の変化や成長を身近に感じることができるでしょう。また、地元の文化や人々と交流しながら、建築の進行状況や街の変化を目撃することもできるかもしれません。

 ただし、バルセロナへの移住は大きな決断ですので、将来の計画や状況をよく考慮する必要があります。移住には慎重な準備や調査が必要ですし、個々の状況や目標によっても異なるでしょう。バルセロナでの生活がどのような経験や成長をもたらすか、よく考えてみることをおすすめします。

 サグラダ・ファミリアの魅力や建築の進行状況に関心を持ちながら、今の環境でもその魅力を追求することは可能です。展示やイベント、書籍や映像などを通じて情報を収集したり、将来の旅行計画としてバルセロナを訪れることも考えられます。どのような形であっても、サグラダ・ファミリアに関する興味や好奇心を大切にし、自分自身の魅力を追求してください。

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