途方について

 上り坂がだらだらと延びている。終わりがないかのよう。一体この先どれだけ上らなければいけないのか。引き返すのならば今の内だろうか。

 途方に暮れていると、前方に人影が見えた。

「教えて下さい。この上り坂は後どれくらい続きますか?」

「さぁ、私はずっと下り坂を下って来ただけの人間ですから」

 言われてみればそうだな、と改めて途方に暮れ直していると、「時にお訊ねしますが、この下り坂は後どれくらい続きますか?」と問われたので、「私は上り坂を上って来ただけの人間ですから、知る由もありません」と答え、暮れていた途方を分け与えてやった。

 少し肩の荷が下りた気がした。

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