呪術師
ツヨシ
第1話
祖母がぼけた。
少し前から兆候はあったが、もう完全に痴呆だ。
孫である俺のこともよくわかっていないようだ。
知らない男性を死んだ夫と間違える。
訳の分からないことを言い、会話が成り立たない。
行動もまるで予測がつかない。
危ないことも平気でする。
父と母は施設に入れたいようだが、お金がかかるのでなんとか自前でやり過ごそうとしている。
しかしそれもいつまでもつことか。
そんな折、近所の男が死んだ。
まだ二十五歳の。
俺は見てないが、父が幼なじみの刑事に聞いたことによると、その死に顔は見るに堪えないほどだったと聞く。
もがき苦しみ恐怖におののき絶叫している。
そんな顔だったと言う。
死因は不明だ。
医者はなんだかの強いショックをうけたとか言っていたようだが、どんなショックなのかはわからなかったようだ。
次の日、近所の中年男が死んだ。
これまた原因不明。
変死扱いで検死もしたというのに。
そして前と同じく、できれば見ない方がいいような死に顔だったと聞く。
その翌日、今度は近所の小学生の男の子が死んだ。
とても子供とは思えないようなひどい顔で。
死因は不明。
三十軒ほどの住宅地で、三日連続で住民が変死をとげたのだ。
近所中に不穏な空気が漂う。
なぜ死んだのか。
また誰かが死ぬのか。
また誰かが死ぬのならば、これはいつまで続くのか。
次の日、近くの女子高生が死んだ。
今までと同じ。
美少女と評判だったが、面影もないほどに、あまりにもひどい死に顔だったそうだ。
両親は一人娘が死んで、発狂状態だと言う。
これまた死因は不明。
なにもわからないそうだ。
どこかの誰かが引っ越すと言う話まで流れてきた。
それが本当かどうかは不明だが。
その次の日は俺の隣の旦那が死んだ。
ここまでくると、当然のことだが大騒ぎだ。
「本当に引っ越したほうがいいかもしれないわ」
「早急に考えてみたほうがいいな」
死因もわからないが、わかっているのはこの住宅地で毎日人が死んでいると言うことだけだ。
マスコミも騒ぎ出した。
それらしい人が何人も狭い住宅街をうろつく。
ニュースでやっているのを俺も見た。
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