覚醒者能力検査5
だから本当に好みでいいのだ。
柄の握りやすさや好きな重さの剣であれば後は値段の問題である。
「とりあえずに手に取ってみたらいい」
何はともあれ手に持たないことには分からないだろう。
安い剣は見た目もそんなに大きく変わらないのでやはり手に馴染むかどうかしかない。
「意外と剣って重たいんですね」
麗は何本か剣を手に取ってみる。
剣というものの重心を分かっていなくてフラついたりして最初は危なっかしかったが持つだけならすぐに慣れた。
「うーん、これですかね?」
「……麗」
「な、なんでそんな怖い顔してるんですか?」
「こっちだろ?」
麗が今手に取っているのは並べられた安い剣の中でもさらに安いもの。
しかし将暉はちゃんと見ていた。
麗が持ってみた時にこれかなって表情をしていたのは違う剣であった。
それは安い剣の中ではやや高めな剣だった。
細身の刃で持ち手も細くて女性の麗でも軽くて持ちやすい。
将暉がその剣を取って麗の持っているものと交換する。
麗は驚いたように将暉を見た。
「い、いいんですか?」
「いいって」
将暉は優しく微笑む。
「稼げるようになったらすぐにもっと良いもんにするから大丈夫だよ」
「ありがとうございます……」
頬を赤らめて麗は嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「俺はこれでいいかな」
安い剣ではあるが麗の持っていたものも悪くはない。
将暉こそどんな剣でも構わない。
ある程度切れさえすればいいからそのまま麗が選ぼうとした剣を自分の剣にすることにした。
鞘は付いているのであとは剣を腰に下げるためのベルトも一緒に購入した。
「末永く爆発……ご購入ありがとうございました〜」
傍目から見れば将暉と麗がイチャつきながら剣を選んでいたようにしか見えない。
一応接客だと将暉たちの後ろで笑顔で待っていたけれど将暉が気を回して選んでしまったので出番もなかった。
顔は営業スマイルだったが最後に堪え切れずに本音が若干漏れてしまった。
サービスで剣にカバーも付けてもらって将暉たちはお店を出た。
「さてと……次は」
「まだ何かあるんですか?」
「うん。
あれば買おうと思ってたものがあるんだけどあそこのお店にはなくてね」
将暉は商業施設の店内図を眺めながら目的のものがどこにありそうか考える。
「何を探しているんですか?」
店内図を眺めている時間が長い。
なかなか目的のものがどこに売っているのか分からないようで悩んでいた。
何を探しているんだろうと麗は首を傾げた。
「んーとな」
将暉は探しているものを麗に伝えた。
「……そんなものが欲しいんですか?」
聞いてもなお麗はそれを何に使うか分からない。
「置いてそうなところ……」
麗もあごに手を当てて店内図を睨みつけるように眺める。
「むむむむ……ここですかね?」
「あるかな?」
「パーティーグッズとか簡単な仮装のものとかあるのであるんじゃないですかね?」
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