【閲覧注意!!】ヤンデレ百合少女は殺してでもハッピーエンドを目指します-冥き乙女のリリーフィリア-

赤月めう

第1話 遠野美雪は恋人に殺された。

【表紙】https://kakuyomu.jp/users/akatsukimeu/news/16817330668804704296


 死んだはずの蓼原(たではら)カンナが私の目の前に現れたことに気付いた時、私の首はもう彼女の手で切断されていた。

 血の雨が降ってきて、目の前にいるカンナの白い髪と肌を赤く染めている。

 私の視界からは見えないけれど、きっとこの血は私の首から噴き出している血に違いない。

 私の顔を覆うその手から伝わる体温は、間違いなく私が知っているカンナのぬくもりだ。

 一年前、失ったはずのぬくもりだ。


 ――私はカンナの事を忘れたかった。

 ここから遠く離れた高校を受験して、嫌な思い出の染みついたこの町から逃げて、カンナとの思い出をすべて捨ててしまいたい。

 最低な自分の事を、もう思い出したくなかったから。


「そんなの、許されない」


 なぜか私の目に、カンナが腰にぶら下げる黒いウサギのマスコットが目に入った。


 いやに低い声だったけど、その声は間違いなくカンナの声だ。

 その声が耳に入った途端、陽だまりのように暖かく、私に笑いかけてくれるカンナの笑顔が鮮明によみがえった。

 だけどいま目の前にいるカンナの笑顔は、まるで氷のように冷たかった。

 気付けば血の雨なんかもう降ってなかった。

 私の視界は、ただ目の前にいるカンナの冷たい顔でいっぱいになっていた。

「……………………カンナ?」

「迎えに来たよ、美雪ちゃん」


 遠野美雪は、死んだはずのカンナに殺された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る